壱 人生万事塞翁が虎 ページ2
「んー、今日は何も無く平和な日だったなぁ…!」
私はそう呟く。
此処はヨコハマ武装探偵社。異能力者が多く所属している摩訶不思議な探偵社だ。
そして私はそんな探偵社の社員である小林A。
かくいう私も異能力者である。
いつもは様々な事件が舞い込んでくるのだが今日はそんなことも無く文字通り平和。いい事だ。
ただ、国木田さんと太宰さんが出かけてから帰ってきていないのは気がかりだが。
外を見上げると暗くなり始めている。
「あ゛ぁーどうしてこんな日に限って先生は非番なんだ…」
やる気のなくなった頭でそのようなことを考える。
私の言う先生とは学校の教師では無い。
この探偵社が誇る名探偵、江戸川乱歩先生である。
あの頭脳はこの世の教師全てを集めても敵わないだろう。…ごめん国木田さん。
そんなことを考えながら机にだらけているといきなりドアが空いた。
「あれ、国木田さん?太宰さんと一緒だったはずじゃ…」
国「色々とあってな。それよりA、今すぐ出れるように支度をしろ。」
「は?事件ですか?」
はて、依頼者も見当たらないのに何事か。ついに太宰さんの自 殺が成功したのか?
国「いや、わからん。太宰のやつからこんな紙を受け取った。」
そう言って国木田さんは1枚の紙を見せてくる。
「十五番街の西倉庫に虎が出る??なんですか、これ」
たしか彼らが出かけた理由は虎探し。虎が見つかることは恐らくいいことなのであろうがどうしてここまでピンポイントで言い当てられるのであろうか。
国「ということだ。おい、A。非番のやつらにも連絡しろ。俺とお前だけでは人手が足りん。」
働かない頭でその言葉を繰り返す。
非番…非番の奴らに連絡…連絡…
そこで私はあることに気がつく。
「それって先生に電話する口実をくださるということですか??流石です、国木田さん!神ですか?!」
国「なんでもいいから早く連絡しろ!間に合わないだろう!」
「では私は先生に連絡しますね!!」
国「勝手にしろ」
ああ、国木田さん。貴方はなんて良い人なのでしょう。
そう思いながら私は携帯電話を取り出すのだった。
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作者名:コンバスのマリネ | 作成日時:2021年4月7日 23時