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《ごめん、なんかまずいこと言っちゃったかな》
《あ、いえ、全然》
分かっちゃうって凄いよね。それだけAちゃんの笑顔が特別なんだよね。きっと
触れてもいいのか触れてはいけないのか分からない話題に、僕は一口お酒を飲んだ。
お酒の力を借りるつもりで。
《こうちゃんと何かあったの?》
《あー、》
濁そうか、濁さないか迷ったらしい。一瞬躊躇って、それから観念したように口を開いた。
《航平のこと、好き、なんですよね》
はは、何言ってるんだろ、まだ仲良くなってまもない人なのに。
Aちゃんが恥ずかしそうに笑う。
ひとつ頷いて続きを促すと、Aちゃんもお酒の力に任せたようだ。
《幼なじみで、私達。中学生の頃航平に特別な感情があるって気がついたんです。
東大行くって言うから私も行こうと思ったけど、現実はそんな甘くなくて》
《それで早稲田に?》
《はい。結果的に航平とちょくちょく会えるようになったから後悔はしてないです》
それから、こうちゃんと姫路城に行ったこと。いつの間にか大人の男の人になってたこと。その時に見た姿に自惚れてしまったこと。油断してしまったこと。
誰か別の人にこうちゃんの心を取られてしまったこと。
そして、僕が薄々気づいていたことを自分から話してくれた頃で、冒頭の状態に戻る。
その薄々の気づきというのは、もしかして、僕を誘ったのはそのため?こうちゃんと仲がいいから?ってことで
Aちゃんが自分から、
《すみません。実を言うとこうちゃんのことを聞きたくて仲がいい山本さんを誘ったんです》
と言ったから、僕はもうそれはそれでいいと割り切った。たまにいるじゃん。伊沢さんとお近付きになりたくて周りから攻めるみたいな。
手口をこっちが気づけば、それに対してそれなりに思うところはあるけど、Aちゃんだからかな。可愛い子だなと逆に思ってしまった。
もう多分意識も飛びかけてるんじゃないかな、しまったなー、僕としたことが…。
こんな状態にさせる前に帰らせないとダメだった。女の子なんだし…。
でもそれでも知りたいと思ってしまった。
もうこれは言い逃れできない。僕はAちゃんが好きになってしまった。
こうちゃんが好きなAちゃんを。
初めっから可能性のない恋愛を初めてしまったのは僕だ。僕も大概馬鹿なのかもしれないね
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです! (2020年5月22日 7時) (レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕凪 | 作成日時:2020年5月22日 2時