クヴァドラートの逆襲 (ページ4)

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─ ymmt ─

僕がAちゃんに出会ったのは、こうちゃんの幼なじみが早稲田だって聞いて、興味本位であわせてもらった時。

正直に言うと、初めの印象はちっちゃい。ただそれだけだった。

僕より少し小さめな身長。慣れないオフィスで、慣れない人達に囲まれてどうしようもなかったのか、こうちゃんの後について行く姿に、ウサギみたい。と思ったほど

だから僕だってこんなことになるとは思ってなかった。

「Aちゃん、そろそろお水挟も」

『ん、、気持ち悪い…』

僕の目の前にはべろべろに酔っ払った状態のAちゃん。何杯目か分からないお酒にやられたみたいで、もう呂律もあんまり回ってない

《山本さん、今日空いてませんか》

みんなが連絡先を交換してるからなんとなく。そんな感じで交換した連絡先の姫路城のアイコンが表示された時はまぁ驚いた。

けれど忙しいわけじゃなかったし、僕だって彼女に少しは興味あったから、すぐ承諾した。

《すみません。突然》

《いや、全然大丈夫です！僕も誰かと飲みたい気分でしたから》

当たり障りない会話から始まって、僕達は意気投合。同じ早稲田生だからという訳では無いが、あそこのお店がどうだとか、あの人がこうだとか、通じる話が多くて。

いつの間にか僕は砕けた言葉で話していて、多分これからもちょくちょくご飯とか行く関係になりそうだなぁとちっちゃく直感したほどだ。

それから、なんというかAちゃんは凄い。

気配り上手、相手を上手くたて、礼儀正しく、マナー完璧。この人本当にこうちゃんの幼なじみなの？本当はいいとこのお嬢さんじゃない？って疑ってしまったのは許して欲しい。

そしてそして、なんと言っても急に見せるその笑顔は反則だと思う。

お嬢さんかなと思えば、急にクシャッと笑う顔。お上品にとか、相手に可愛く見られたいとかで笑うんじゃなくて、ほんとに心の底から笑ってるって分かる顔。

ギャップで一目惚れとか信じてこなかったけど、突然見せられたそれに僕は1発ノックアウト。

Aちゃんはこうちゃんの幼なじみから気になる人にすぐに昇格した。

そんな彼女がなんでこんなに酔ってるかというと、それは

《こうちゃん好きな人とどうなのかな、》

と僕が何の気なしに発した一言。一瞬で空気が凍った気がした。Aちゃんの顔からあの笑顔が消えた。

作り笑いの登場だ。

やらかしたと思った。