原案者解説２ ページ41
たまご作品のすべてにおいて言えることだが、メインキャラクター以外のキャラクターが素晴らしい。タカギは、寝ても覚めても錦戸のことを愛している。この作品の中では1番、(ある意味では)純情な気さえする。彼女の生き方はとても分かりやすく、「亮か、それ以外か」といった具合に、世界の中心はいつだって錦戸であった。その錦戸の中心に居座り続けた主人公を、一体どんな目で見ていたのだろうか。丸山の父が亡くなるきっかけを作ってしまったのもまた彼女であり、そのまま主人公の前から姿をくらましたタカギは、本当に陽炎のようだ。作品の後半でも、奴のいるところには必ず彼女が現れる。つい微笑んでしまうほどの“忠犬”っぷりだ。
ヤマギシは個人的にとても人間らしさ、女らしさを感じるキャラクターであった。まじめで誠実な仮面をかぶりながら、心の中ではとても利己的で、それはそれは痛々しく描かれている。錦戸に利用されていたキャラクターに過ぎない部分はあるものの、自分がもしも、彼女と同じ境遇に置かれたらと考えると、あの選択以外をとれないのではないだろうか。
そして、ヒカル。最終楽章において、村上との幸せな暮らしを壊す不穏な空気の裏にいるのは彼女なのではないかと、そう疑った方も多いだろう。ぽっと主人公のそばに表れ、すっと懐に入ってくる、おおざっぱで、どこか繊細で、人をよく見ている。最終楽章を読むと、正義と悪は紙一重だと深く感じるが、村上とヒカルは、作中で主人公が語っている通り、よく似ている。数々の男に狂わされ、そして狂ってきた主人公を最後に救うのは、案外こんな同性の友達なのだろう。
さて、タイトルの「陰翳の果実」の話をしよう。大まかなプロットを立て終わり、10ページほど筆が進んだ頃だろうか。ようやく作品として形になった頃に決めたこのタイトルの「陰翳」とは、谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」からの引用である。谷崎潤一郎っぽい感じにしたいという原案者の一言に対して、満点以上の回答が返ってきた。タイトルを陰のある果実と解釈すれば、つかめそうでつかみどころのない主人公のようにも感じられるし、含みや影が果実となって堕ちる、と解釈すれば欲にまみれ溺れていった男たちとも考えられるだろう。ちなみに主人公の設定には文学部の近代文学専攻というものや、卒論を三島か谷崎にするというものがあるが、このあたりには著者の嗜好が色濃く反映されている。
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しいたけ(プロフ) - 完結おめでとうございます。本当に大好きな作品です。どんな終わりを迎えるのか、終わることの恐さもありましたが、穏やかで温かな気持ちで読み終えまして、この作品に出会えた幸せを噛み締めました。ありがとうございます。お疲れ様でした！ (2020年10月12日 19時) (
レス) id: 6cdb312904 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと最終話を楽しみにしていました！たまごさんの文学のように作り込まれた世界観や表現が大好きです（ ; ; ）また1話から読み直そうと思います。お疲れ様でした！ (2020年9月24日 10時) (レス) id: 31e8afe04b (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！これほどまでに壮大なスケールの夢小説に出会ったのは初めてでした。いくつもの糸が絡み合ったストーリー、どうやってエンディングを迎えるのか、ずっとドキドキしながら読んでました。今はしばらく余韻に浸っていたい気分です。 (2020年9月24日 1時) (レス) id: 64389dcac8 (このIDを非表示/違反報告)
やなこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2020年9月23日 16時) (レス) id: 779424fc05 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - たまごさん完結おめでとうございます。嬉しい反面読み進めるワクワクが無くなる寂しさも感じています。何度も何度も読み返したくなる大作だと思いました。これからもたまごさんの書く作品に期待しています。本当にお疲れ様でした。 (2020年9月23日 1時) (レス) id: f635eadff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2020年6月4日 1時
