郊外の街２ ページ11
「…あ」
ぽつりと、頬に水滴を感じ空を見上げる
さっきまで強い陽射しで照らしていた太陽が厚い灰色の雲に覆われ たちまち世界は翳る
これは本降りになりそうだと、近くに見えたコンビニに駆け込む、傘を買おうと
その時
「ーー…」
すれ違った人を振り返るーー…
…
…青い、服を着ている人を、振り返る癖がついていた
目の端に映る青に反応する癖が
…別人
ーー…あなたはいま何処にいるのだろうと
上がった心拍数と残像をはらうように首を振り店内を歩く
壁に設置された鏡に私の全身が映るーー…
「ーー…」
…今、ここに映る私はきっと
咄嗟に雨宿りをしただけの普通の女に見えるだろうし
私は、スカートの上から左腿にそっと触れる…
“ほんま、いっくら痕つけたところで時間経ったら消えてまうからなあ”
“もっと消えん痕残さなあかん思ってーー…”
…時間が経って
たくさん、時間が経ってーー…
スカートの下、痕は消えなくても
もう、痛みの感覚などとっくに失くしてしまった
あなたが抱える傷はきっとまだ癒えていないだろうにーー…
傘を買い、
夕立に見舞われた灰色の通りに再び出るーー…
ーー…
…それは、不思議な導きだった
傘を差し顔をあげた先に
一本の細い道が目に入った
その脇道の先には
駅へと続く表通りと並行して、川が流れているようだった
「ーー…」
大粒の雨が傘を打つ中
私は吸い寄せられるように、その道を進む。
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しいたけ(プロフ) - 完結おめでとうございます。本当に大好きな作品です。どんな終わりを迎えるのか、終わることの恐さもありましたが、穏やかで温かな気持ちで読み終えまして、この作品に出会えた幸せを噛み締めました。ありがとうございます。お疲れ様でした！ (2020年10月12日 19時) (
レス) id: 6cdb312904 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと最終話を楽しみにしていました！たまごさんの文学のように作り込まれた世界観や表現が大好きです（ ; ; ）また1話から読み直そうと思います。お疲れ様でした！ (2020年9月24日 10時) (レス) id: 31e8afe04b (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！これほどまでに壮大なスケールの夢小説に出会ったのは初めてでした。いくつもの糸が絡み合ったストーリー、どうやってエンディングを迎えるのか、ずっとドキドキしながら読んでました。今はしばらく余韻に浸っていたい気分です。 (2020年9月24日 1時) (レス) id: 64389dcac8 (このIDを非表示/違反報告)
やなこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2020年9月23日 16時) (レス) id: 779424fc05 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - たまごさん完結おめでとうございます。嬉しい反面読み進めるワクワクが無くなる寂しさも感じています。何度も何度も読み返したくなる大作だと思いました。これからもたまごさんの書く作品に期待しています。本当にお疲れ様でした。 (2020年9月23日 1時) (レス) id: f635eadff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2020年6月4日 1時
