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霧の中の憂患【紫】 ページ24

「あぁ…っ、」


「はは、なに喜んどんねん、そんな俺の好きか」


「ん、すき…あぁっ…、」



…入れると


彼はいつもめちゃくちゃだった


圧倒的な質量で私を蹂躙し続けた



逃さぬよう掴まれた腰を何度も深く打ち付けられ


天国の扉を必死に叩くように


爪を立てしがみついたソファががたがたと揺れていた




「ほれ、もっと見せてみ? そんなもんやないやろお前は」



「ん、もっと…、」



「もっとなんや、言うてみ」



「…もっと、してーー…」



「…ええ子やな」




…私は、貫かれながら支配され


自らを曝け出し 天に預ける


そのすべてを、余すところなく受容されーー…




「あっ…信ちゃ…っ、」


「なんや、もうあかんか」


「んっ…ーー、」



…引き出しの奥底に沈めた不安も憂患も


雲を散らすように吹き飛ばしながら


螺旋状の階段をのぼる




「あっ、信ちゃん…、あぁっ…、」


「んー? なんや」



「…ん、すき…、好き…ーー」



立ち込める霧のように白く 薄れゆく意識の中



その安堵と高揚で


私は



深い恍惚に包まれるーー…




ーー…








「ーー…」



…ソファで、寝落ちていた


俯せ、着崩れた服のまま



どうやら彼のかけてくれた、ふわふわとした毛布をかぶって



私の左手は ソファの下にだらりと落ちていて


視線でその指先を辿ると


床に敷かれたカーペットの上 仰向けで寝ている彼の左手へとつながっていた



僅かに口を開けて眠る彼からは平和な寝息が漏れ


彼がいま生きているという事実そのものが


愛しくて、胸が苦しかった



その時、にゃあんとソラが鳴く


ああ、ごはんをあげるのを忘れてた…



私は名残を惜しみながら指先を離して静かに起き上がる


小声で“ごめんね”と謝り

台所でソラの好物の缶詰とお水をあげた



深夜3時43分


まだ窓の外は暗く


変な時間に目覚めてしまったなあと、自分のお水を持ってダイニングに座る



「ーー…」



…ふと、テーブルの端に目がいく


テレビのリモコンの下に重ねられた束…



「ーー…」



背後から微かにソラが舐める水音が響く中


…私はそれに手を伸ばす



首筋の血の気が音も無く引いていく


…この間のアレは、たしかに寝室の引き出しの奥にしまったはずなのにーー…






「ーー…」




今日届いたであろう新しい郵便物の中にまた…



あの白い封筒が 静かに潜んでいた

空白の叫び→←窓辺の犬【紫】



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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…!引き続きよろしくお願いします! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます!ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます!ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー!!信五最強説です…!そしてビリヤード!素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん!コメントありがとうございます嬉しい!ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます! (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまご | 作成日時:2019年8月18日 23時

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