新しい友達 ページ22
「お腹減ったなあ…」
隣のデスクの彼女が呟いた。
独り言にしては、やや大きな声で。
「……」
こういう時の正解の反応が分からなくて、私は無言でキーボードを打ち続ける…
「ねえ、お腹減らない？ うち昼休みとか決まった時間ないからいつ出てもいいし」
「あ…はい、ぜひ」
「あ、ほんと？ タジマさーん、ちょっと私たちご飯食べてきまーす」
そう言って彼女は作業中のPCもそのままに立ち上がると、軽く頷き私の起立を促した。
「いただきまーす！ ほら今日水曜じゃん、水曜は生姜焼きなのよいつも」
事務所の近所の定食屋、端っこの席で向かい合い
彼女は私の意見も聞かず日替わり定食を２つ頼む。
「…あれ、嫌だった？ ひょっとしてビーガンとか？」
「いや、好きです生姜焼き」
運ばれてくるや否や両手を合わせて勢いよく口に運ぶ彼女に呆気にとられているとそう尋ねるから、私も慌てて手を合わせた。
「だよね、生姜焼き嫌いな人会ったことないもん」
「サカシタさんはよくここ来るんですね」
「うん、コスパ最強だから…あ、ヒカルでいいよ、Aちゃん」
そう言って口の端を拭いながら、彼女は笑った。
“うち割とブラックだからさ、すぐ人辞めちゃって途方に暮れてたんだよね”
“Aちゃん来てくれてまじで天使降臨したかと思ったわ”
お味噌汁とご飯と生姜焼き、見事な三角食べを繰り広げながらそう語る彼女は私と同い年ながら、
“女ひとりでやってみた”という体当たり体験レポシリーズが人気の、この会社のエンジンのような存在だった。
「ほらうち、ろくにテキスト書ける人いないしさ、“てにをは”からやり直せレベルだよ」
…よく喋る子だった。
「Aちゃんの文章綺麗だよね。ちょっと綺麗すぎてウェブには固いかも知んないけどさ」
…そんなことを言われたのは初めてで
この距離の詰め方とか、よく笑うとことか、ざっくばらんな話し方まで含めて
ちょっと、信ちゃんに似てるなと思った。
新しい職場に通うようになって2週間、
私は久しぶりにーー…
「…私もヒカルちゃんの文章好き」
「え、まじで言ってる？ 私単純だからここ奢るわ」
「あ…なら次は私が奢るね」
…新しい友達ができた。
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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…！引き続きよろしくお願いします！ (2020年6月2日 17時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます！ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます！ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー！！信五最強説です…！そしてビリヤード！素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん！コメントありがとうございます嬉しい！ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年8月18日 23時
