断罪の振り子【緑】 ページ36
「…A」
「なんだ忠義か、びっくりした…」
「なんだってなんやねん、失礼やなあお前は」
…紅葉が色づいた公園のブランコを一人漕いでいて振り返ると
忠義が静かに笑っていた。
彼は不思議と、大学生の頃のような恰好で
なのに髪は 社会人然とした長さで切り揃えられていた。
「…押したろうか、背中」
「え…いいよ、子どもじゃあるまいし」
「遠慮すんなて。ほら…」
背中を押す大きな手
ブランコはたちまち正しく機能を発揮し
大きな振り子となって揺れ始める
「大学ん時もようサボって公園で遊んだなあ」
「そうだっけ…？」
ぐらん
ぐらんと
「…いっぺんヤスと二人でトイレ消えたことあったやろ」
「え…」
「気付いてへんと思ったん？ 白々しく時間差で戻ってくるからなんも言われへんかったわ」
振り子の幅が
どんどん大きくなるーー…
「…ちょっと、私もう行かないと…」
「んー？ どこに？」
ぐらん
ぐらん
のんびりした声で彼は背中を力強く押し続ける
「どこって…信ちゃんのとこ」
「…誰？」
「…彼氏だよ、知ってるでしょ…、もうやめて…」
ぐらん
地上がたちまち遠ざかり
一気に引き戻される
揺れる足元 その引力に振り落とされそうで
背後の彼を振り返りながら必死に両手を握りしめる
鉄の匂いーー…
「…知らんなあ」
「…忠義お願い、やめて…！」
「お前はほんっまに懲りひん女や」
「忠義…？」
遠ざかっては
ーー…近づく眼
それはあの日のように精気を失い
「俺がどんな想いでずっとおったか…」
また近づいた瞬間 私を貫くーー…
「どうしたらわかってくれるん…？」
ーー…気づくと私は木に括り付けられたロープで首を締められぶらぶらと揺れている
首に食い込む縄を急いで解こうとするのに
下から忠義が腰に絡みつき 私の喉はますます締まるーー…
やめて…、
ああ、両腕を這わせながら彼が私を下へと引く
見下ろすと、私は裸で
彼は
私の腰のくびれを噛むーー…
「なあ」
ーー…苦しい
「俺らを差し置いてお前に幸せになる権利があるんか？」
脂汗が滲む
彼は下から私の身体を這い上がってくる
「次々男と寝て周り不幸にした女が」
ぎりぎりと首に食い込む縄
…ああ、
遂に、目の前
「なんっで俺らより幸せになって許されるーー…？」
真っ黒な眼をした忠義がーー…
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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…！引き続きよろしくお願いします！ (2020年6月2日 17時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます！ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます！ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー！！信五最強説です…！そしてビリヤード！素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん！コメントありがとうございます嬉しい！ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年8月18日 23時
