咆哮する獣【紫】 ページ33
「…A」
「…おいA、どこ行くねん！」
ーー…
私は、彼を置いて店を飛び出すーー…
何処かから、誰かが見ているかもしれないと思った、今この瞬間も
オレンジ色の街灯
周囲を必死に見渡す、ここは街の中心から少し離れているからクリスマスイブだというのに外は冷たく静かで
「ーー…」
目の前を通り過ぎる“乗車中”のタクシー、その後部座席にすら私は必死に目を凝らす、
誰が、何処でーー…
「…A！」
追いかけてきた彼が私の腕を掴む、私はそれを振り払う
誰かがきっと見ている今も、だから早く見つけないと
「…A、落ち着け！」
「っ…、やだ、無理…！」
「なんでや！」
「ーー…っ、」
ーー…恐怖ではなかった
「…なんや嫌がらせされたわけでもないやろ、奢ってくれてラッキーや思…」
「ーー…嫌がらせだよ！！」
咄嗟の怒りだったこれは
彼はまた暴れる私のコートの袖を掴むーー…
「ーー…」
「…私と、信ちゃんが…っ、」
「…働いて、出し合ったお金で、食べたの、食べるから意味があったの」
「信ちゃんが選んでくれたお店で…、今日を楽しみにして毎日お仕事頑張って…、そういうのを全部踏み躙ったーー…」
…ささやかな営みを
労りを
努力を
こんな、嘲笑うようなやり方で
“…生きるって、こういうことなんだと思った”
“…やからまあ、お前が生きてきた全部に、やな”
…生きるための忘却を許さぬというのなら
私にはもう、死ぬ道しか残されていないということなのかーー…
「ーー…A！」
「っ…ーー、」
獣のように暴れ咆哮する私を彼は
彼は、強い力で抱き抱える
横から両腕を回されて抵抗する私をなだめるように何度も何度も名前を呼んで
不意に力が…
天に吸い取られてゆくみたいで
途端に立っている力さえ失いその両腕に全ての体重を預けてしまう
息が、
白いーー…
「ーー…」
彼は右手で髪を撫でる
険しい表情 ぐちゃぐちゃな私の顔を覗き込んで
そのまま
…ずれた、唇を重ねたーー…
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たまご(プロフ) - okmrernさん» あ、なんか途中で送信しちゃったごめんなさい…！引き続きよろしくお願いします！ (2020年6月2日 17時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - okmrernさん» okmrernさま、お久しぶりですありがとうございます！ここまでされても私はこの村上信五とつきあいたい (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさま、お久しぶりですありがとうございます！ラスボスは一番そばにいるということでひとつ…！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぐふ。さん» ぐふ。さま、初めてのコメントうれしいですー！！信五最強説です…！そしてビリヤード！素敵ですねそれ…ただ友達がいる設定にしてしまったなあの店員さん…… (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ゆき姉さん» ゆきえさん！コメントありがとうございます嬉しい！ほんとしんどい話でごめんなさいね…いつもありがとうございます！ (2020年6月2日 17時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2019年8月18日 23時
