いつかの質問【Side Her】２ ページ5
「…残り、15枚だから。無駄な写真は撮らないよ」
「…おん。お前忘れてるやろうけど、俺も被写体のプロやねん」
先にそれをやめてくれたのは、その人のほうだった。
「…その泥の中しゃがんで」
その人は自分が汚れることを厭わずに、私を好きだと言った。
「…ほんま虫おったら俺無理やねんけど…」
本当は誰より恐がりのくせに。
「…好きな食べ物はなんですか？」
「…なんやねんそれ。唐揚げと生姜焼きと白飯？ あ、あと素麺」
全力で私にぶつかってきた。
「…偏食だからそんなガリガリなんじゃないの」
「これでここまで生きてこれたんやから充分やろ。お前こそ煙草とコーヒーばっかなんやめたら？」
私はその人よりずっと臆病で、変わろうとしている自分から逃げたけど。
「…これでここまで生きてきたからええねん」
「関西弁へったくそやな」
その人のお陰でーー…
今、人生で一番…きっとうまく自分を愛せてる。
私たちは笑ってばかりで、
全然撮影なんてできてなかった。
彼の脚はくるぶしまで泥に沈み、
私もその中に向かい合ってしゃがみ、カメラを構え直す。
「…ねえ、生まれ変わったら、何になりたい…？」
ーー…いつかした、質問だった。
あなたはあの時、なんて答えたっけ…？
カメラの前、歪んだ顔をさらして、
あなたはあの時ーー…
今、あなたはファインダー越しの私から目線を離さず
少しだけもったいぶってから
笑顔で
「…俺」
と答えるから
私はその時ようやく…
震える手でシャッターを押す
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たまご(プロフ) - miyu1129320さん» 初めまして、コメントありがとうございます。黄担の方にそんな風に仰って頂けるとすごくすごく嬉しいです。彼は私が一番書きやすいメンバーなので、ほんとは永遠に彼を書いていたいです笑。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - しずくさん» しずくさんお返事遅くなってごめんなさい！私にとって特別な作品なので読んでくださってうれしいです^ ^ この二人は書いててすごく楽しいので、今後も少しずつ続けられたらなと思っています。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
miyu1129320(プロフ) - はじめまして。10年間黄色eighterさせてもらっている高校三年生の女子です。ひさしぶりに占ツクを読みましたが、もう書く文章が大好きすぎて底までハマりました。。。亮ちゃんの考えそうなことや言動行動がそのまま文になっていて、、本当に素晴らしかったです。 (2019年9月4日 23時) (レス) id: ce64f6c53c (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 今さらながらこちらの小説も読ませて頂きました！感想を上手くコトバにできませんが、たまごさんが書く小説が本当に大好きです。本編では二人に感情移入しポロポロと涙し、その後の番外編では二人の子供にほっこりじんわりさせられ…今後も楽しみにしていますね。 (2019年8月4日 13時) (レス) id: 298df3e651 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ボラリップさん» ボラリップ様、ご無沙汰してます！素敵なコメントありがとうございます^ ^私もこのカップル？夫婦？は自分の作品の中で一番思い入れがあるので、またいつか機会があったら書きたいですね…。ページいっぱいになってしまいましたが笑。今後ともよろしくお願いします！ (2018年12月25日 4時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年3月2日 10時
