A fairy-tale ending 5 ページ24
…空が、藍色に飲まれていった。
船はレインボーブリッジの下をくぐり、夜のお台場を抜け、東京湾へ。
でっかい船やから、揺れはほとんど気にならず。
手ばかりが込んだ食事はもう、メインに差し掛かり、代わる代わる誰かが送る祝辞や余興を聞き流し、その都度フォークとナイフ置いて、律儀に拍手して。
時計見ると、まだ１時間半。
…じっと座っとるのに焦れた俺は、頃合いを見計らって立ち上がり、ビール瓶持って監督への挨拶へ。
「…この度はおめでとうございます」
「お、こっちからテーブル回らなきゃならないのに、ごめんなわざわざ」
監督は飲みかけだったグラス空けて、席の横に座り込む俺にビールグラスを傾けてくれた。
…やっぱ奥さんべっぴんやな。
「新作にも出てほしかったんだけどな。スケジュールハマんなくて残念だったよ」
「すんません声掛けてくださったのに。俺もめっちゃあの役やりたかったんすけど…」
「まあいい役者はどこも取り合いだから。忙しいだろうけど たまには自分のために時間使えよ。もう…そういう年だろ」
…今日、ほんまは貴重なオフやったんすけどね。
心の中で愚痴りつつ…有り難い言葉に感謝する。
礼言って席戻ろうと立ち上がったら……
彼女がひとりこっそりと、ちっこい鞄持って壁際を伝い歩き…入り口の階段の先、どこかへ消えていくのが見えた。
……
…俺はその目的を瞬時に察し。
“たまには、自分のための時間”ーー…
俺の足は監督の言葉により、まるで魔法にかけられたみたいに…
席に戻ることなく、そのあとを追いかける
階段を上がり…迷わずデッキへと続くガラスの扉を開ける
風がーーー…
気持ちええ…
真っ暗な夜の、海…
対岸には人々の営みが作り上げた灯りが煌めく
そのまま茶色い木の床で覆われた、暗い無人のデッキを進むと…
…おった
彼女が奥の喫煙所で…遠ざかる夜景を眺めながら煙草を吸っていた。
その姿はあの頃と何も変わってないようで…
風を受けてひとり立つその姿は神々しく
…触れたら、あかんような
俺はしばらくそこから彼女の横顔を
息をひそめて、ただじっと見ていた。
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たまご(プロフ) - miyu1129320さん» 初めまして、コメントありがとうございます。黄担の方にそんな風に仰って頂けるとすごくすごく嬉しいです。彼は私が一番書きやすいメンバーなので、ほんとは永遠に彼を書いていたいです笑。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - しずくさん» しずくさんお返事遅くなってごめんなさい！私にとって特別な作品なので読んでくださってうれしいです^ ^ この二人は書いててすごく楽しいので、今後も少しずつ続けられたらなと思っています。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
miyu1129320(プロフ) - はじめまして。10年間黄色eighterさせてもらっている高校三年生の女子です。ひさしぶりに占ツクを読みましたが、もう書く文章が大好きすぎて底までハマりました。。。亮ちゃんの考えそうなことや言動行動がそのまま文になっていて、、本当に素晴らしかったです。 (2019年9月4日 23時) (レス) id: ce64f6c53c (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 今さらながらこちらの小説も読ませて頂きました！感想を上手くコトバにできませんが、たまごさんが書く小説が本当に大好きです。本編では二人に感情移入しポロポロと涙し、その後の番外編では二人の子供にほっこりじんわりさせられ…今後も楽しみにしていますね。 (2019年8月4日 13時) (レス) id: 298df3e651 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ボラリップさん» ボラリップ様、ご無沙汰してます！素敵なコメントありがとうございます^ ^私もこのカップル？夫婦？は自分の作品の中で一番思い入れがあるので、またいつか機会があったら書きたいですね…。ページいっぱいになってしまいましたが笑。今後ともよろしくお願いします！ (2018年12月25日 4時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年3月2日 10時
