〜１６：５０の緑 ページ13
突然宇宙人みたいな行動することが多いから。
なんも考えてなさそーとか、瞬発力で行動してそーとか、きっと思われてるんやろうけど。
別にこいつはそない単純やなくて、ちゃんと人並みに悩んだり落ち込んだりするけど、たぶん、吹っ切れた時とか、こうと決めた時とかのギアの入れ方が、ちょっと一段階上なだけやねんな。
やからまあ、堤防で叫び出すという斜め上の行動をした時点で、もう腹ん中決めたんやろなと、
これで僕もお役御免やと思って、あとはまあどーせなら遊んだれと、僕たちはシャツだけ脱いで水着でもないハーパンで、堤防から勢いよく走って、海ん中ばっしゃーん飛び込んで。
「ぶっは、鼻にめっさ入ったわぁ」
「うはははは、ヤス河童みたいになっとんでえ！」
僕たちは笑う。
世界のどこにいようと、俺らはいつもこんなふうに、笑っとるけど。
波に浮かびながら、僕は向こうに見える民宿を眺める。
「…まあ、確かにええな、たまには」
「んー？」
「誰のためでもなく、自分たちのためだけに、笑える場所って感じやなあ」
「おん」
ひとしきり遊んだ僕たちは、砂と塩まみれの身体で民宿まで歩き。
建物の裏に備え付けてあるシャワーで、それを流しとったら。
民宿の周り散歩しとった…すばるくんのほうの…Aさんと出くわす。
「…渋やん、は？」
「…寝ちゃった。Aちゃんは、今ごはんの支度してくれてるよ」
……この二人、会うの何年ぶりか、やんな。
ここ逃したら二人でゆっくり話せる機会もないやろ思て、僕は「先戻っとるな」と気をきかす。
表に回り込んで、玄関から入ろう思ったら…今度はヤスのほうの…Aちゃんとエンカウント。
「海、入ったんですね。タオル持ってくるのでちょっと待っててください。…章ちゃんは？」
「あー、なんか堤防で会うた魚釣っとるおっさんと意気投合しとったから、僕だけ先帰ってきたわあ」
…釣りしとる人なんてひとりもおらんかったけど。
この海、夏やのに人いなすぎて大丈夫なんかな。
「…僕お風呂入りたいねんけど、借りてもええかな？」
「…もちろん」
さすがに、二人が話してるとこに出くわしたら、この子が傷つくやろ。
……とりあえず、さっさとあの二人、話終わらしてくれんかなー…。
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たまご(プロフ) - Gなさん» Gな様、コメントありがとうございます。長いお話に一緒にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。すごくうれしいです。やすば、最高ですよね…。しばらくは彼ら二人のお話は短編以外では書けないと思いますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2018年2月22日 3時) (
レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
Gな(プロフ) - そして雪が降る から ここまで 彼らのリアルを感じてきました。 すごく好き。ちなみに私もやすばです。 (2018年2月21日 21時) (レス) id: a5ab956501 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃん様、コメントありがとうございます、長いお話すべてお読みくださったんでしょうか…。いろんな道があり、それぞれを懸命に生きることが他の誰かのためにもなっている、ということが書きたかったので、そう仰って頂けてうれしいです！ (2018年2月16日 1時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん(プロフ) - コメント、失礼します。なんというか、自分を肯定できたような気がします。さらさらと表面を走っていくだけのお話ではなく、すごく刺さるお話でした。出会えてよかったです。ありがとうございました。 (2018年2月15日 1時) (レス) id: b71f457045 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ほっそんさん» ほっそん様、素敵なコメントありがとうございます…！ とりあえず毛色の違う黄色さんの新作をはじめたので、もしよろしかったらお読みいただけるとうれしいです。黒さんのお話はいつか必ず書きたいと思っておりますので、もう少々お待ちくださいね！ (2018年2月9日 12時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年2月4日 0時
