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試された犬 ページ39

章ちゃんは私たちを見て一瞬だけ立ち止まり、そのまま何事もなかったかのように私の横をすり抜けて歩いていく。


男の子ももちろん、立ち止まった私に気づかず真っすぐに歩いていくから、


私はひとり、真ん中に取り残される。






ーー「ごめん、忘れ物した」



私は彼にそう言い残して、章ちゃんの背中を追いかけた。








章ちゃんは歩くのがとても速くて、全然追いつけない。



角を曲がり、人通りの少ない路地裏に入っていく背中。





待って、



……待って!








「……いつまで追ってくるん」







ーーー角を曲がると、

章ちゃんが、私を待ち構えていた。





私はすぐそこにいた章ちゃんに驚き、息を切らしながら急ブレーキをかける。





「……あの男と、家、帰るんやろ」

「……」


「僕んこと、追いかけてる場合とちゃうんやないの?」




章ちゃんは、マスクとメガネ越しに、
とても冷たい目で、私をじっと見ていた。




「……ごめんなさい」


私はわけもわからず謝る。




「何が?」

「……追いかけて……」




「……」

「…ずっと…っ、追いかけてばっかりで……」






ちゃんと諦めるつもりだったのに、できると思ったのに。




ちょっと会ったらもうダメで、
走ってしまって、髪の毛もぐしゃぐしゃで、


こんなぼろぼろな顔で、
章ちゃんの目にうつる自分が恥ずかしい。





私は走って追いついて、どうするつもりだったの?



ご主人様を見つけた犬じゃないんだから……。




情けなくて、息を整えながら自分の前髪を掴んで顔を隠していたら、

章ちゃんがその手を捕まえた。







「……僕んこと、好きなんやろ」



私はゆっくりと、冷たくそう言い放つ顔を見る。





「……好きなんやったら、ちゃんと、追いかけ続けなあかんよ」





“あれは章ちゃんがくれた優しさだった”?

“一度きりのご褒美だった”?





違う。

全然、不正解だった。




私は、お預けをくらった犬のように。


ただ、その忠誠心を試されていたーーー

意外な客人→←章ちゃん以外の男の子



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たまご(プロフ) - まれなさん» まれなさま、コメントありがとうございます!まだ書き始めて3.4ヶ月しか経っていない新米作者ですが、楽しんでいただけているならよかったです…!今後とも何卒よろしくお願いします^ ^ (2018年4月8日 23時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
まれな(プロフ) - いつもたまごさんのお話楽しみにして読んでます♪ 普通とは違う感じでまるで本当の小説を読んでるような感じがして本当にはまってます!!これからも期待してます!! (2018年4月8日 22時) (レス) id: 77816b1cc4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - たむこさん» たむこ様、コメントに気づかずレス遅れて本当にごめんなさい!!失礼しました! 励ましていただいてうれしいです…なかなかうまく書けないですが見習ってがんばります! 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月27日 11時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たむこ(プロフ) - たまごさん» 先輩作者だなんてとんでもないです(T_T)まだ稚拙な文しかかけない新参者ですので...!これからもご無理のないようにたまごさんのペースで書いてくださいね(^^) (2018年1月22日 16時) (レス) id: 5f35bba986 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - たむこさん» たむこ様、うう、有り難いコメント本当にうれしいです。前作は処女作らしく勢いで書けたんですが、今回難しくて悩みながら書いてます…たむこさんのように先輩作者さんたちの偉大さを思い知っております。。。今後ともよろしくお願いします! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまご | 作成日時:2018年1月16日 14時

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