震える指先【赤】 ページ6
お湯が、少し色付いていてよかったと思った。
何度も何度も互いの裸をさらけだしてきたのに、
なぜ今日はこんなに恥ずかしいんだろう。
彼は 外に向けていた私の身体の左肩を後ろから掴み、座っている腕の中に引き寄せる。
両腕を首の前で交差され、身体を彼に完全に預ける形になった。
「のぼせそうか？」
「ん…まだ大丈夫」
「髪、上げてんの、ええな」
そう言って、うなじにそっと口をつけられる。
私は「やっぱりのぼせそうかも」と言って 彼の腕の中から逃げようとするけれど、
彼は取り合ってはくれない。
「なに照れとるん」
「…わかんない」
私は素直に答える。
すると腕をゆるめられて、私は少し安心したけれど、
「こっち、向け」
すぐにそう 命じられる。
おそるおそる身体ごと彼のほうを振り返ると、
じっとこちらを見つめる瞳があった。
その抗えない引力に、
私は自分の瞳が揺れてしまうのを自覚する。
彼は一瞬 口の端で笑うと、昼間と同じように
「ん」
と言って、キスをするように促す。
身体を正面に向き直し、私は指先を震わせながら、
彼の濡れた頬にそっと触れる。
ゆっくりと顔を近づけていき、やっとの思いで、
触れるだけのキスをした。
湿った唇たちは触れた部分から吸い付いていくように重なり、
離れる瞬間は、名残惜しむように余韻を残した。
「A」
私から目を離さぬまま 彼がとつぜん、名前を呼ぶ。
「好きや」
………
「俺は、お前が好きや」
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たまご(プロフ) - みかんさん» みかんさま、教えてくれてありがとうございます、探して数ページ読んでみましたがちょっと笑ってしまいました…。コメント欄閉じていらっしゃるので確信犯かな。。なんとも言えない気分です笑。 (2020年3月1日 20時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - くるみさん» くるみさん今更のお返事でごめんなさい、いつもありがとうございますー！また気が向いたらここも更新できたらいいな…（やるやる詐欺になりつつありますが）今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月1日 20時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - このお話大好きで繰り返し読ませて頂いてます。。スノのほうで白夜というお話があるのですがとてもこのお話に激似です。。確認してみてください。 (2020年2月28日 13時) (レス) id: 9f4ab94ec1 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - またこの2人に会えて嬉しかったです！会えて、っておかしいか？笑 渋谷さんの不器用な優しさが沁みますね〜。またこんな感じで細々と続く2人をずっとずっと見守っていきたいです。寒い冬に暖かいエピソードありがとうございました！ (2020年1月21日 1時) (レス) id: 64389dcac8 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - あくあさん» あくあさま、雪が降るといえばあくあさん、という感じだったのでコメントうれしいです。そうですね、彼らは何気ない日常のワンシーンを覗き見するみたいな感じで描きたかったので、そう感じてくださったなら本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2020年1月20日 23時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年1月11日 0時
