嘘と失望【橙】 ページ27
「…嘘なんやろ？ あの大倉言う男に抱かれとったんやないん？」
唐突にーー…
彼は異様な早口で話し始めた
床に投げ出された獲物を追い込むように
「…なに…違うよ… ーーっ！」
ーー…彼の左手が私の左腿を掴む
「…こん傷の原因もあいつと浮気しとったからやないの？」
ぎりぎりと
「やめて…っ、違うから…」
「…何が？」
手が、左腿に食い込むーー…
座り込んだ私は両手を後ろにつき
後退しようと足掻くのにストッキングが廊下を何度もすべる
彼は覆い被さるように私を廊下の壁際まで追いつめ
見下ろし睨む眼が眼前まで迫るーー…
「…あん男のお前見る目ですぐわかったわ、は…何が友達やねんなあ…」
「違っ…、ほんとにっ、…」
…
「忠義とはなんでもないから！」
私は叫ぶーー…
ーー…
「っ…実家に、寄ってただけで…」
「……」
「っほんとに、それだけだから…」
絞り出した言葉
…彼が左腿を掴んだ手の力を
「…ふーん…」
ようやく
緩めたーー…
「ーー…」
「…ほんなら今実家に電話かけて、スピーカーで」
「え…？」
「…嘘やないならかけて」
「でも…なんて言えば…」
「忘れもんしたとかなんとか言えばええやろ、さっきまでおったんなら」
「……」
「…かけられへんの？」
「……」
…些細な、嘘が
行く手を阻んでいた、
こんなことなら…最初から本当ことを言うべきだったーー…
「…もうええわ」
彼は吐き捨てて立ち上がり私を置き去りに廊下を奥へと進む
「…まって」
私は慌ててその背中を追いかける、
自室の扉を開ける彼に縋り付くようにその袖を捕まえ振り払われながら話し続ける
「…待って！ 違うの、ごめんなさいっ…、」
私は、
わけもわからず謝るーー…
「ごめんなさい、違うの、待って…」
「…うるさいわ」
「っ…、忠義とはほんとに昔から何もなくてっ…、」
「……」
「ごめんね、聞いてほしいの、誤解だから」
…私は、何を間違えてしまったんだろうか一体
今朝までこの人はあんなに優しかったのに一体何がいけなかったのか
強引に扉を閉めようとする彼に必死に追い縋り
とにかくわかってもらわなきゃとーー…
「お願い聞いてっ…」
「ーー…うるさい言うてんやろが！」
ーー…
彼の手がーー…
「ーー…」
壁に押し付けられた私の喉を締め上げていた
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たまご(プロフ) - しずくさん» しずく様、コメントありがとうございます、とても嬉しいです！なかなか狂った人たちばかりの中で、そんな風にきちんと感情が伝わっているのならとても安心しました…。お話は恐らく第5部くらいまで続くので、長くて恐縮ですが引き続きお楽しみ頂けますように…！ (2019年1月11日 4時) (
レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ボラリップさん» ボラリップさま、いつもありがとうございます！おっしゃっていただいた通り、正気に戻った大倉くんはしんどい展開になりましたね…。ようやく第3部完で、もう考えすぎて頭割れそうですが笑。引き続きよろしくお願いします！ (2019年1月11日 4時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーン様、いつもありがとうございます！「彼らがわたしを狂わせるのか、わたしが彼らを狂わせるのか」ですからね…笑。ようやく第3部完で、恐らく5部くらいまで行くと思うので…どうなるのか引き続きお付き合い頂けるとうれしいです！ (2019年1月11日 4時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - たまごさま。こちらの小説に出会い読み進めていくうちにストーリーにのめり込んでる自分がいます。話の進め方がとても素晴らしく興味深くて毎回続きを楽しみに読ませてもらっています。すべての登場人物に感情移入してしまい泣けてきます。今後どうなるのか楽しみです。 (2019年1月10日 19時) (レス) id: b1e2a66987 (このIDを非表示/違反報告)
ボラリップ(プロフ) - みんな苦しくて泣けてきちゃいました。だけど、こんな風に人を愛してみたくもなるような中毒性が強い物語に引き込まれています。この後正気に戻った大倉君がより苦しみそうで、切ない、、。いやぁ、たまごさん本当に凄いです。更新楽しみにしています！ (2019年1月10日 3時) (レス) id: c7f51b06db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年11月19日 11時
