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隣の飼い猫【緑】5 ページ23

「ん」


ーー…それはとても、自然なことみたいだった

ひとつの缶ビールを交互に飲み合うのと同じように。



左隣、私のすぐそばに、寒さに肩をすくませ笑う彼の顔があって



「ん」


当然のことのように、私もくちびるを。




…不思議な夜だった。
私たちはあくまで、よき隣人だったはずなのに…



水が高いところから下へ流れていくように
太陽が朝のぼって夕方に沈むように


午後のひだまりの中、猫が毛繕いをするように




「ん」


私たちは何度も、くちびるを触れ合わせる




「ん」


お互い口角を上げたまま
交わすキスは、戯れ…




「ん」



瞳すら閉じず、それは何度も




「ん」



くちびるは冷たいから、
生々しい気配からはほど遠くて




「ん…」



ひりつくような冷気の中

息の白さだけが、ふたりを包んでいた。






ーー…


「…あーっ、さすがに寒いわ」

「無理無理、も 入ろ」


そして遂に私たちは観念して、冷えきった指でガラスの扉を引く



「あったかあー!」


脚にすり寄る黒猫にすら構うことなく駆け込むように


暖房に甘やかされた室内に戻ると、

途端にじわじわと、血が通っていくーー…




「あー床暖やっばー…」

「うそ、わたしも」



私たちは並んで、打ち上げられたトドみたいに板張りの床にうつ伏せに寝転ぶ

全身でその温度を吸う



身体の前面だけがたちまち体温を取り戻し…



左を向くと、彼がこちらを見て笑っていたから。





私たちはまた吸い寄せられるように、



迂闊に、キスをするーー…




「んーー…」





ーーー…


くちびるが、舌が…

今度は熱かったから…




「…ん…っ」


「んー?」



私たちはなんだか一気に、
生々しくなって




「んっ…、っ…、」


「……」




次第に身体までも絡ませ合ってーー…




「あ…、っ」


「…えっろ」





…そのまま、うっかり、



彼と寝た。

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たまご(プロフ) - くりくりさん» くりくり様、お返事遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございました!ラスト駆け足になってしまいましたが、少しでも気に入っていただけたなら幸せです。今後ともよろしくお願いします! (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - まっきーさん» まっきー様、いつもありがとうございます!緑さんのお話、書いた当初は自信なかったんですが、今では結構好きなお話です。7人揃う日まで気長にお付き合い頂けると嬉しいです…! (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
くりくり(プロフ) - 初恋ごっこ、読み終えて胸が苦しくて愛おしい気持ちが溢れて一言お伝えせずにいられなくなりました。更新が待ち遠しいです! (2019年8月25日 15時) (レス) id: f2b0afbb33 (このIDを非表示/違反報告)
まっきー(プロフ) - どのお話も素敵でした!とくに大倉君のお話が堪らなく好きです(*´∇`*)最高です!!お忙しいとは思いますが、更新楽しみに待っています!! (2019年8月15日 20時) (レス) id: 76f56a80a0 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ひよりんさん» ひよりんさん!コメントありがとうございます、まさかひよりんさんに読んでいただける&コメントまでいただけるとは思わず二度見しました…!うれしいですありがとうございます、今後とも何卒よろしくお願いします…。゚(゚´ω`゚)゚。 (2019年8月15日 16時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまご | 作成日時:2018年4月30日 14時

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