隣の飼い猫【緑】９ ページ27
「で、仕事どうなりそうなん？」
横に並び、彼が段ボールから取り出してくれるお皿を受け取りながら、私は近況を簡単に報告する。
「うん、前からたまに翻訳の仕事もらってた会社の人に頼んで、契約だけど席ももらえそうだから、これからはちゃんと出勤するよ」
「へー、じゃあ夜型の生活ともオサラバやな」
いつまでも誰かに飼われる猫じゃなくて…
本当の意味で対等な、よき隣人へ。
そう後押ししてくれたこの人の真っ当さが、なまっていた私の手足を動かす。
労働の気持ちよさに、せっせと夢中になっているとーー…
「…やっぱうちの猫にしてまえばよかったわ」
「え？」
拗ねたように段ボールをパタンと閉じた彼が、「こっち」と手を引いた。
まだ片付いていない室内になんとかスペースを見つけて座り、私を後ろから腕の中に閉じ込める。
猫をあやすように顎の下を指で撫でるから、私はくすぐったくて身をよじり振り返る。
「ん」
彼が首の後ろで、くちびるを突き出すから…
私は自然なことのように、そっとキスをする。
段ボールの塔たちが、座り込んだ私たちを取り囲んでいて。
なんだかそれが、キャットタワーみたいだなと思う。
「ごめんね、狭いでしょ」
「んー、まあお前抱くのに20畳のリビングは必要あらへんしなぁ」
彼がうなじに、しっとりとキスをして
ぴくりと身体が跳ねる
両手がじわじわと服の中に侵入し
素肌を撫でる…
「ん…っ、」
私は声を潜めようと、両手で口を覆う
「鳴き声、聴きたいねんけど」
彼はその手を掴んで、耳元で低く囁く
この人の腕の中でだけ、私はまた猫になりーー…
「あぁ、…っ、」
「…A、背中 爪立てんといて」
「だって…、やっーー…、」
キャリーバッグの中のヨルがその時
にゃあ、と鳴いたーー…
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たまご(プロフ) - くりくりさん» くりくり様、お返事遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございました！ラスト駆け足になってしまいましたが、少しでも気に入っていただけたなら幸せです。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月5日 4時) (
レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - まっきーさん» まっきー様、いつもありがとうございます！緑さんのお話、書いた当初は自信なかったんですが、今では結構好きなお話です。7人揃う日まで気長にお付き合い頂けると嬉しいです…！ (2019年9月5日 4時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
くりくり(プロフ) - 初恋ごっこ、読み終えて胸が苦しくて愛おしい気持ちが溢れて一言お伝えせずにいられなくなりました。更新が待ち遠しいです！ (2019年8月25日 15時) (レス) id: f2b0afbb33 (このIDを非表示/違反報告)
まっきー(プロフ) - どのお話も素敵でした！とくに大倉君のお話が堪らなく好きです(*´∇｀*)最高です！！お忙しいとは思いますが、更新楽しみに待っています！！ (2019年8月15日 20時) (レス) id: 76f56a80a0 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ひよりんさん» ひよりんさん！コメントありがとうございます、まさかひよりんさんに読んでいただける&コメントまでいただけるとは思わず二度見しました…！うれしいですありがとうございます、今後とも何卒よろしくお願いします…｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2019年8月15日 16時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年4月30日 14時
