赤い印【青】 ページ6
Kindleで読みかけの小説を開き、2-3行流し読んだ時ーー…
「…うわぁお待たせ、ごめんなあ」
顔のすぐ横で響く少し高い声
ーー…それは鍵の“赤”が“青”に変わった瞬間だった。
「……ヤス、くん…？」
「ん、そう！ あっちの個室でスタッフとの飲み会やってんけど…ごめんトイレ待たせたなあ、一瞬 中で寝てもうたわぁ…」
恐らく私をファンだと勘違いしながらも、
嫌な顔ひとつせず気さくに話し続けるその人は、
紛れもなく、私が一方的によく知っている、あのヤスくんだった。
「どしたん黙って…あ、トイレ我慢しとったから？ ごめんごめん、早よ入り？」
「いや…あの、ごめんなさい大丈夫です」
「ひとつしかないトイレで寝るなんて最低やろぉ…他にも待たせた人おったんかな、申し訳ないわあ」
ぶつぶつと反省の弁を述べる彼に…
私は何か言葉をつなごうかと迷いながら、これ以上「彼」の親しい人と話し込むのは危険だと曖昧に笑って誤摩化す。
それじゃあ、と背を向け、ドアノブに手をかけた途端ーー…
「…あ、Aちゃんて渋やんのセ フレやったやんなあ？ まさかまだ続いとんの？」
思わず振り返った瞬間、スマホが指からこぼれた。
「うわー！ごめん！やってもうた、粉々や…」
心底申し訳なさそうな顔をしながら、呆然とする私を置いてヤスくんはひょいとそれを拾い上げる
「なん…で…？」
そう尋ねる私に「うん？」と片眉を一瞬上げて…
「ああ、Aちゃんて気づいてへんと思ったん？ すぐわかったわ」
彼は笑う、まるで親しい友人と数日ぶりに会ったかのように。
それから、スマホケースについたふわふわを、手でぽんぽん、と払い。
「それにこれ…赤やったから」
そう言って、顔の前でその赤いボンボンを揺らした。
それは…
写真を保存しないのがプライドだと言いながら、
私が雑貨屋さんで無意識に選んだしまった色だった。
――こういうところで結局、私は詰めが甘かった。
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たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます！なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (
レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます！すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
ぐ(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています！ (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい！続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです！ (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2017年12月22日 3時
