缶コーヒーの灰皿【青】 ページ11
「ほんとにうち入るの？」
「おん、心配せんでええで、当たり前やけどなんもせんし」
送ってくれるだけかと思っていたら、ちゃっかり一緒に車を降りて、
マンションの部屋の前まで着いてくる。
「さっきの話、帰りがけに振るんやもん。気になってるんやろ？ ゆっくり話したいやん」
さっきの話？
ああ、私が言った
「しかし、よく覚えてたね」
だ……
「わかった、じゃあちょっと片付けるから３分ちょうだい…」
「ええやん、散らかってても気にせんで、お邪魔しまーす！」
ガチャッと扉を開けて、私を置いてズカズカと入っていく。
すごい。
本当にイメージ通りというか、イメージ以上の人だ…
こんなふうに他人のテリトリーに、いとも簡単に入り込んでくる人がいるなんて。
振り回されてばかりいる事実に戸惑いながら遅れて部屋に入っていくと、
勝手に電気とクーラーをつけてソファに寝転んで、まるで何年も前からここに住んでるみたいな顔で、
「おかえり〜」
と迎えるから、なんだかすべてを許してしまう。
お酒は家に置いてないから、お茶を入れようとお湯を沸かしながらマグカップを二つ出す。
「あ、ごめん煙草吸うよね？ 灰皿ないんだけどちょっと待ってて」
キッチンの棚をガサゴソと漁っていると、
「渋やん、ここには来ないん？」
早々に火をつけた煙草をくわえ、キョロキョロと部屋を見渡しながら、ヤスくんがやってきた。
「滅多に来ないよ、前に来たのはもう２年くらい前かな…あ、あった」
その、「前に来た時」彼が使った、缶コーヒーの空き缶を差し出す。
「…滅多に来ないから灰皿は買わへんけど、
２年前に使った空き缶はちゃんと取ってあるんやなあ」
受け取りながらおかしそうに笑って言い当てるから、
私はなんだか、見透かされたみたいで恥ずかしくなる。
「いや、ちゃんと洗ってあるし、滅多に来ないけど彼、来る時いつも突然だから灰皿ないと困るし…」
「名前で呼ばんよな」
「え？」
慌てて言い訳をする私に、唐突な問い。
「渋やんのこと、いつも『彼』としか呼ばんよな。それも気をつけてんの？」
「ああ…うん。普段からそういうところ気をつけておけば、友達とかと恋愛の話になってもボロが出ることもないかなって…」
「そういうとこなんやろな」
「え？」
「渋やんが離さん理由、わかる気がするわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 779人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます！なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (
レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます！すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
ぐ(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています！ (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい！続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです！ (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たまご
| 作成日時：2017年12月22日 3時
