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理不尽な不機嫌【Side青】 ページ40

僕の理不尽な不機嫌を察したのか、Aちゃんはすっかり口をつぐんでもうた。


「……………」



ああ、ほんまや。

静かになると聞こえてくる。激しい風と、打ちつける雨の音。


僕の心がこんなにぐちゃぐちゃなんも、きっと台風のせいやな。



「ねえ、もう帰ったほうがいいんじゃない? 雨、もっとひどくなるらしいよ」


「帰れなくなったらAちゃんのせいやん。

…どうせ渋やんのとこ行ってたんやろ」




酔っぱらったふりしてたけど、
いや、酔っぱらってんのも事実やけど、

ほんまはピンポンしてもAちゃんがおらんかった時から、

ああ、渋やんのとこにいるんやな、て、気づいてた。



それでも、この一本飲んでる間に、もしかしたら帰ってくるかもって、
大量に買い込んだコンビニ袋から取り出して、
ちびちびうまくもない酒飲んで、

350ml一本飲むのに30分もかけたんやで?


帰るに帰れなくなって、そっからはもう、ヤケになって全部飲み干したるってスイッチ入ってもうて、

こうしてる間にも、Aちゃんが渋やんに突っ込まれて鳴いてるのかと思ったら、

たまらん気持ちになって。



なんやねん、なんで僕はこんなぐちゃぐちゃやねん。


気づいたらほんまに寝てて、揺り動かされたと思ったら、目の前にAちゃんがいて。


ああ、僕のために帰ってきてくれたんやって一瞬幸せな気持ちになったけど、


渋やんに抱かれた直後のAちゃんは、ものすごくキレイで。

オンナ、って感じで。



匂い立ってくる甘ったるさを直視できんくて、僕はソファにうつ伏せに倒れ込んだ。



…リスクヘッジ?
 入り込む余地?


僕はほんまアホやな。


そんなの…全然、あらへんやないか。





差し出された水、受け取ろう思って顔を向けたら、


Aちゃんの左手に噛み跡を見つけてしもて、


そっからはその動揺を隠すために、
わけわからんこと喋り続けたけど、



ーーもうダメや。





この子を、困らせたい。


僕で困ってよ。

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たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます!なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます!すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています! (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい!続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです! (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまご | 作成日時:2017年12月22日 3時

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