猫の噛み跡【赤】 ページ36
温めたらすぐ食べられるようにお味噌汁も用意したあと、
ゴオォと鳴り続けていた換気扇を止めたら、
雨が窓を打つ音がした。
明日朝、電車が止まらないといいけど。
台風情報をチェックしようと鞄に仕舞っていたままのスマホを取り出したら、
いくつかのLINE通知。
「…うそでしょ」
私は慌てて身支度を整え、彼の寝ているベッドに近づき、そっと顔に触れる。
「ん…？ どした…？」
「起こしてごめん…
ちょっと明日必要な仕事の書類、家に忘れたことに気付いて…
今日は泊まらずに帰るね。
ごはん、作っておいたから温めて食べてね」
眠そうな彼の顔が一瞬だけ、
ゆがんだように見えた。
「…朝帰れば？」
「…台風が来てるみたいで、今のうちに帰ったほうがよさそうだから」
「もう電車ないやろ」
「さっきからタクシー呼んでるけど来ないから、通りで待ってみる」
「ふーん…わかった、気ぃつけえ」
「うん、ありがと」
そう言って彼の顔から手を離そうとしたら、
その手をグッと掴まれて、
突然、
ガブッと、強く噛まれた。
「いたっ…！ ちょっと…！」
親指の下に、グッと歯が食い込んでいく。
「痛いよ…ねえ…！」
「…すまん」
数秒してようやく離してくれた彼が、ポツリと謝った。
「…どうしたの？」
「…知らん。歯がうずいた」
ほんとに、猫じゃないんだから…
唐突な彼の行動に戸惑うけれど、
「飯、あとで食うわ。ありがとな」
そう言ってまた枕に顔を伏せるから、
それ以上どうしようもなくて。
じんじんと痛む左手を抱え、
私はそっと、部屋をあとにした。
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たまご(プロフ) - ぐさん» ぐさま、嬉しいお言葉ありがとうございます！なんとか第2幕も開幕しましたので、続きも楽しんで頂けるように頑張ります^ ^ (2018年1月3日 12時) (
レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - めちゃさん» めちゃさま、コメントありがとうございます！すばるくんのセリフ気に入って頂けるの、すごく嬉しいです…幽霊、いいですよね…w 引き続きよろしくお願いします^ ^ (2018年1月3日 12時) (レス) id: 42d81ca1be (このIDを非表示/違反報告)
ぐ(プロフ) - 初めまして。"既に投票済みです"となるのを分かっていても評価を押したくなるくらいこのお話が大好きです(*^◯^*)続きも楽しみにしています！ (2018年1月3日 1時) (レス) id: 378be249b3 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - すばるくんのセリフの一言一言が全部好きです 私も幽霊になりたい (2018年1月2日 18時) (レス) id: 2487310cb4 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - なつきさん» なつき様、ごめんなさい！続編設定、今解除しました。続きは準備中なので、もう少々お待ちいただけるとうれしいです！ (2018年1月2日 17時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2017年12月22日 3時
