15年後の俺1【黒】 ページ47
「…ごめんな、こんな長い話聞いてもらって」
「いえ、私がお願いしたことですから」
「…ありがとう」
…ほとんど誰も知らん俺のこんな話に
黙って付き合ってくれた彼女に、俺は頭を下げる
もう、ずいぶん遅い時間やった
二人きりの個室
静かで
ボトルは、結局2本空いていた。
…
「…あの」
「ん…?」
“ええよ”と言うのに財布を出そうとするヒヨリちゃんをなんとか制して会計を済ませ
個室を出ようとしたところで、意を決したように彼女が俺を振り返った
「…やっぱり、お手紙お預かりさせてもらえませんか」
「いや、ええよ」
…ほんまに、もうええと思ったんや俺は。
“あれからどうしてたん”
“なんで嘘ついたん”
…きっと、今聞いても全部、仕方のないことやから。
…そう思えたんも、この子のおかげなんかもしれんかった。
「…でも、Aさんも、気にされていたんじゃないかと思うんです」
「ーー…」
「…この間ご挨拶した時、私の名札をじっとご覧になっていたんです、ほら、“横山”って書いてあるからーー…」
…個室の出口んとこで、ヒヨリちゃんは俺を見上げてそう早口で言う
赤い顔
「…お二人が同じマンションにお住まいになるって、すごい確率だと思うんです」
ヒール履いてへんから小さくて
えらい距離が近い
やけどその近さにすら気づいてへんような、必死さで…
「…だから、ごめんなさいうまく言えないんですけど、お渡ししたほうがいいんじゃないかと思って、それで…」
この子は、
なんでこんなに人のために一生懸命になれるんやろーー…
「ーー…」
ーー…わからんけど俺はなぜか
「ーー…横山さん…?」
なぜか、
彼女を抱きしめていたーー…
…腕ん中に
小さくなった彼女の身体
柔らかい髪が俺の顎に触れている…
「…ごめん」
…自分で、何やっとんねんと思いながら
ええ年して…
やけど、その衝動を
どうしても抑えきれへんかったーー…
511人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき姉(プロフ) - 年末年始と忙しくて気になっていたけど我慢してやっと、読めました!あここで名前が?って予想外だったので戸惑った笑ほんまのほんま、の感想は完結した時に。でもでもだけど。やっぱりたまごさんのかくeightが好きです。 (2021年1月7日 18時) (レス) id: f0721a3442 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - はるさん» はるさん、コメントありがとうございます、とても嬉しいです。ちょうど「CHANCE」が出たころっぽかったのでそのイメージでしたが、マドモアゼルココもいいですね!引き続き見守っていただけると嬉しいです。 (2020年12月17日 3時) (レス) id: 0669d21b3c (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 鳥肉なし、愛がたっぷりのオムライスがリアルっぽくて切な愛おしいです。シャネルの香水はマドモアゼルココが大好きなので、それをイメージしました。 (2020年12月15日 11時) (レス) id: c38ac67a9b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - kukuさん» kukuさんコメントありがとうございます、嬉しいです!ほんと励まされます…!どうか引き続き楽しんでいただけますように! (2020年12月7日 22時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - ぽてとさん» お返事ありがとうございました!ようやくご自身のお名前出てきたと思うので、どうか引き続きお楽しみいただけますように…! (2020年12月7日 22時) (レス) id: 8c4f156e76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たまご | 作成日時:2020年12月4日 16時