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白熱しすぎた人形劇は、廊下まで演じる声(特にマルキンマンの雄叫び)が漏れていたらしく、
他のスタッフも笑いを堪えるのが大変だったとクレーム(？)が多数寄せられた。
呆れた笑顔の師長さんから皆で注意も受けたけど、
私達、劇団上田は無事にミッションを果たし、笑顔で解散した。
その後、まだまだぎこちない様子ではあったけれど、拓斗くんは面会に来るようになった。
幼稚園にも行くようになり、ご主人やお婆ちゃんにワガママを言うようになったりと、大分子供らしさも戻ってきたとの事だった。
ただ、市村さんには入院前の時のように甘えたりすることはなく、微妙な距離感のままだった。
特に、脱毛の進んだ頭が受け入れがたいのか、市村さんが帽子を取っている時は特に、目も合わさず、俯いて黙るか、廊下に出てしまう事が多かった。
市「やっぱり髪がないって、子供は驚きますよね…。まだよそよそしいんですけど…、しょうがないですよね。」
市村さんはそう言いながらも、拓斗くんの顔が見れる事が嬉しいと笑った。
危惧していた副作用も、脱毛以外は特に悪化はなく、手術に向けての準備が進められた。
ｺﾝｺﾝ
『市村さーん、手術室へ移動の時間ですよ』
市「あっ、はいっ。お願いしますっ。」
夫「宜しくお願いします。」
市「帽子…、ギリギリまで被っててもいいですか？」
『もちろん！手術室に入る時に外すように、向こうの看護師さんにも頼んでありますからね。』
市「すみません、ワガママ言って…。」
『大丈夫ですよ、じゃあ行きましょっ。』
『たっくんも行こうね？』
拓「ん。」
いつものようにスパイダーマンの人形を片手に握りしめて、唇をぎゅっと閉めて大きく頷いた。
市村さんはもちろん、皆緊張した面持ちで、重苦しい雰囲気で。
無言で手術室に向かった。
『…では、ご家族はここまでになります。隣にご家族の控え室がありますので、手術が終わるまで、そちらで待機をお願いします。』
市「…行ってくるね。」
夫「うん。頑張って。」
市「拓斗、ママ行ってくるね。」
拓「……。」
市村さんが拓斗くんに声をかけたけど。
拓斗くんはご主人の後ろにさっと隠れてしまった。
頭を撫でようと伸ばした手をそっとひっこめ、拓斗くんを少し寂しそうな顔で見つめて、
市「じゃぁ…。お願いします。」
と、私に向き直った。
『…では、行ってきますね。』
私はもう一度ご家族に声をかけて、手術室に入った。
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がくたん(プロフ) - あきさん» 初めまして！コメントありがとうございます！上田さんのナースとしての姿勢、そんな風に言っていただけて嬉しいです。介護士さんの仕事も尊い素敵なお仕事ですよね。頑張ってくださいね！まだ続編で続いておりますので、よかったらそっちも読んでってくださいねー！ (2017年11月20日 6時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はじめまして！今日この作品に巡り会って読ませていただきました。素敵なお話で夢中に読みました。介護士をしているのですが、上田さんのプロフェッショナルぶりに脱帽です。家族の思い、そこに向き合う姿が素敵で涙がでました。ステキなお話をありがとうございました。 (2017年11月19日 17時) (レス) id: c25913c797 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» そうそう、村上先生ね(笑)。私もつい忘れてまいそうになったので、すばるくんにあの一言を言わせましたとさ。まんま、私の心の声。笑。 (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» うわー、読破！こちらこそありがとうございました！こんな職場いいなってお声を結構いただけて。最終的には７人プラス上田しゃんのの関係性の良さが表現できたのかな？って嬉しくなりました！何しろ無事に書き終えられて良かったと安堵安堵の思い出でした(笑) (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 色々なことが一気に動き出しましたね。それに負けじと一気に読ませてもらいました。ありがとう！楽しかったぁ。仕事も認めあっててOFFはいつまでもバカ騒ぎができて。ホントにいいチームワーク。こういう職場で働きたいな。村上先生が医師だって、一瞬忘れてました笑。 (2017年10月2日 23時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がくたん
| 作成日時：2017年4月8日 7時
