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化学療法で期待していた腫瘍の縮小は殆どできておらず、むしろ、腫瘍の成長スピードが増していて。
明らかな転移がないのが唯一の救い、という状況だけで、これ以上の化学療法はデメリットの方が多いと判断。
手術に影響するほどの副作用が出る前に、化学療法は中止する方針となった。
翌日の病状説明はそれらを踏まえて、想定していたよりも難しい手術になる、という話をすることになった。
市「…そうですか……。」
丸「はい、ですので、化学療法は中止しましょう。」
夫「そうなると、手術はやっぱり難しくなるんでしょうか？」
丸「そうですね…。難易度はかなり高くなりますし、出血等のリスクも高くなります。」
市「…でも、待てない、んですよね？」
丸「はい、早ければ早い方が…。そうですよね、安田先生。」
「はい。一応、抗がん剤の影響が遅れて出る場合があるので、少なくともあと二週間は採血等で身体の状態をチェックしながら準備をして、良ければ即手術をしようと思います。」
「私達も万全の体制を整えておきます。市村さんも、少しでも食べて、寝て。体力回復させましょう。」
市「…はい。宜しくお願いします。」
夫「宜しくお願いします。」
市村さんとご主人は、手術同意書にサインした。
丸「お預かりします。」
同意書を受け取った丸山先生と、その隣に座る章大さんが、私に目配せをした。
『…あの…、拓斗くんは？』
夫「今、私の母と中庭にいます。」
『拓斗くんの様子、どうでしょうか？』
夫「特に困らせる事もなく…。我が儘も言わないですし、助かってます。」
『ご面会を嫌がってるって聞いたのですが…』
夫「そうなんです。病院、怖いんですかね？注射するとこって思ってるんじゃないでしょうか？」
『…拓斗くん、もしかしたら、自分のせいでお母さんが病気になったと思っているかもしれません。』
市夫「「え？？」」
『幼年期のお子さんの特徴なんですが…。良い事は自分のおかげ、悪い事は自分のせい…というふうに、自分中心の思考回路を持つんですね。』
『なので…、市村さんの入院後の変化からみて、今回の事は自分がお利口にしてなかったから、と思ってる可能性があります。』
『自分のせいだから、自分がお利口にしてればママは元気に帰ってくる、と自分に言い聞かせてるかもしれません。』
市「そんな…。」
夫「……。」
お二人ともショックを隠さない表情で。
市村さんは大粒の涙を流し始めた。
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がくたん(プロフ) - あきさん» 初めまして！コメントありがとうございます！上田さんのナースとしての姿勢、そんな風に言っていただけて嬉しいです。介護士さんの仕事も尊い素敵なお仕事ですよね。頑張ってくださいね！まだ続編で続いておりますので、よかったらそっちも読んでってくださいねー！ (2017年11月20日 6時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はじめまして！今日この作品に巡り会って読ませていただきました。素敵なお話で夢中に読みました。介護士をしているのですが、上田さんのプロフェッショナルぶりに脱帽です。家族の思い、そこに向き合う姿が素敵で涙がでました。ステキなお話をありがとうございました。 (2017年11月19日 17時) (レス) id: c25913c797 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» そうそう、村上先生ね(笑)。私もつい忘れてまいそうになったので、すばるくんにあの一言を言わせましたとさ。まんま、私の心の声。笑。 (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» うわー、読破！こちらこそありがとうございました！こんな職場いいなってお声を結構いただけて。最終的には７人プラス上田しゃんのの関係性の良さが表現できたのかな？って嬉しくなりました！何しろ無事に書き終えられて良かったと安堵安堵の思い出でした(笑) (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 色々なことが一気に動き出しましたね。それに負けじと一気に読ませてもらいました。ありがとう！楽しかったぁ。仕事も認めあっててOFFはいつまでもバカ騒ぎができて。ホントにいいチームワーク。こういう職場で働きたいな。村上先生が医師だって、一瞬忘れてました笑。 (2017年10月2日 23時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がくたん
| 作成日時：2017年4月8日 7時
