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『もちろん、業務の引き継ぎは必ず責任をもってやります。ですから、』
師「貴女、どれだけの業務を担当してると思ってるの？教育、学生指導、チームリーダーも。それをたった9ヶ月で…。普通、もっと計画的に後任を育てるべきでしょう？」
『…はい。本当に申し訳ありません…。仰る事はごもっともです…。』
『…でも、どうしても開院準備に間に合わせたいんです。理想の病院づくりに、一から関わらせてもらいたいんです。』
『どうか、宜しくお願いします…。』
いつも冷静で、穏やかな師長さんが、厳しい表情を崩さずに私の前に座っている。
8西病棟に異動してから数年間。
何かと目を掛けて、育てていただいた。
なのに私は師長さんの期待を裏切るどころか、恩を仇で返している。
これほど、上司として無力感に苛まれる事はないだろうと、申し訳ない気持ちで一杯になった。
他に上手い理由をつけようとすれば、きっといくらでもある。
でも、感謝しているからこそ、嘘もつきたくなくて。
真っ向から新しい挑戦に対する思いを伝える事にした。
師長さんは暫く無言で私の眼をじっと見つめて。
その後、ふーっと息をはいた。
師「誰に後任を任せるかは近日中に決めるから、貴女の意見も聞かせてちょうだい。早急に、後任育成と引き継ぎの計画を立てておいて。」
『師長さん…』
師「これから休み返上でやらないと追い付かないわよ。」
『、はいっ。』
師「あぁ、私の今の発言はパワハラになるから。貴女もいずれ管理職になるんでしょうから、覚えておきなさいね。」
そう言って、面談室を出ていった。
いつも影日向となって、母のような温かさと厳しさをもって、スタッフを見守り、導いてくれる師長さん。
私にとっては "ずっとついていきたい"
そう思える、唯一の師長さんだった。
いつか、管理職という名の役職につく日がくるとしたら。
きっと、師長さんを目標にするだろう。
私は、師長さんが出ていった扉に向かって
『ありがとうございました』
と、深く頭を下げた。
その日の夜、章大さんから聞いた話。
"もう先生…恨むわよ"
"…でも、上田をどうか宜しくお願いします"
って、師長さんに言われたって。
私、章大さんの事は何も言わなかったのに。
師長さん、見抜いてたんだ。
「お母さんみたいやったよ」
そう、章大さんは笑った。
師長さんの、看護師としての母心が伝わって。
私はまた、前に踏み出す為の力を貰った。
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がくたん(プロフ) - あきさん» 初めまして！コメントありがとうございます！上田さんのナースとしての姿勢、そんな風に言っていただけて嬉しいです。介護士さんの仕事も尊い素敵なお仕事ですよね。頑張ってくださいね！まだ続編で続いておりますので、よかったらそっちも読んでってくださいねー！ (2017年11月20日 6時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はじめまして！今日この作品に巡り会って読ませていただきました。素敵なお話で夢中に読みました。介護士をしているのですが、上田さんのプロフェッショナルぶりに脱帽です。家族の思い、そこに向き合う姿が素敵で涙がでました。ステキなお話をありがとうございました。 (2017年11月19日 17時) (レス) id: c25913c797 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» そうそう、村上先生ね(笑)。私もつい忘れてまいそうになったので、すばるくんにあの一言を言わせましたとさ。まんま、私の心の声。笑。 (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» うわー、読破！こちらこそありがとうございました！こんな職場いいなってお声を結構いただけて。最終的には７人プラス上田しゃんのの関係性の良さが表現できたのかな？って嬉しくなりました！何しろ無事に書き終えられて良かったと安堵安堵の思い出でした(笑) (2017年10月3日 6時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 色々なことが一気に動き出しましたね。それに負けじと一気に読ませてもらいました。ありがとう！楽しかったぁ。仕事も認めあっててOFFはいつまでもバカ騒ぎができて。ホントにいいチームワーク。こういう職場で働きたいな。村上先生が医師だって、一瞬忘れてました笑。 (2017年10月2日 23時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がくたん
| 作成日時：2017年4月8日 7時
