・ ページ10
章大さんが私の気配に気づいてニカッと笑った。
「遠かったやろ？店まで行ったんにー。」
『ううん、ここで待ってて欲しかったから。はい、少し温くなっちゃったけど、これ。』
「ありがとぉ。」
ラテを渡すと、プラスチックの飲み口にフーッて細く息を吹き込みながら、ズズッと啜って。
「ああ、そっか、ぬるまったいんや。笑」
って、くしゃっと笑った。
隣に座って、たわいもない話をする。
『最近、睡眠時間どのくらい？』
「んー。に、さん、時間？」
『大丈夫？』
「おれ、元々あんま寝なくても平気やねん。でもオペの前日は5時間位は寝るようにしてんで？」
『そうだよね、怖いもんね。』
「なぁ、術中にウトウトしてられんしなぁ。笑」
『良く言うよ、山瀬さんが最近いつにも増してキレッキレだって言ってたよ。』
「ふはっ、そうかぁー？あ、そういや、山瀬さん、認定看護師の学校受かったらしいで。春から休職やって。」
『うん、聞いた。凄いよねぇ、有言実行。でもドクター達は痛手だねぇ。』
「まぁなぁ。でも、おれの手技審査の日はまだおるねんて。やから助かったぁ。」
『良かったね、万全の体制で挑みたいもんね。』
「おん、まぁなぁ。」
話をしてるうちに、表情は和らいで。
さっきの不安げな顔も少しずつ消えていた。
ラテを飲み終わった私は、
『さて。』
と言って、ガードレールからピョンと立ち上がって、章大さんと向かいあった。
「…あ、もう、行くん？」
って、章大さんは、投げ出していた両足をずるずると戻して、立ち上がる体勢になろうとした。
私はその瞬間、その両足の間に滑り込んで、ダウンのジッパーを下ろして、ユニフォームの襟ぐりを拡げ、その隙間に顔を寄せた。
「っ、ちょおっ、」
慌てる章大さんを無視して、私が目指した場所。
左鎖骨の下。
ありったけの思いを込めて、チュウッと思いきり吸い込んだ。
「A…。」
咄嗟に身体のバランスをとるように開いていた両腕が、そっと私の背中に回ったのを感じた。
『あーっ、唇、痛っ！笑』
って顔を上げたら、
「吸い込みすぎやねんっ 笑」
って赤くなって笑う章大さんの顔が目の前にあった。
私はふふって笑って、
『章大さんなら大丈夫。』
『私の願いも変わらずに、ここにあるし。』
『消えても何度でもつけてあげるから。』
『応援、してるよ？』
って、指先でつけたばかりのお守りをトンってつついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 968人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» Nobuさんのほうが真をついてますよ、大倉先生より(笑)。仰る通り、正解なんてものはなくて。どこに重きを置くかも人それぞれ。想いの強さ、意思の強さ、願いの強さ、絆の強さ…。色んな選択肢があるなかで、この二人は何を選んでいくのか。岐路に立つ二人の話です。 (2017年9月27日 23時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 強くなる…一生懸命頑張ったら強くなれる訳でもないし、自分では強くなったつもりでもまだまだ弱いかもしれないし。難しいですね。大倉先生の言葉、突き刺さります。 (2017年9月27日 21時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 亜季さん» 一歩踏み出して、臆する事なく道を進んでも、上田さんへの愛情、優しさは忘れない。そんな、一皮むけた安田先生ならではのプレゼントでした♪いつもしてるマ○チュのオーシャンにゴールドがあったら、きっと大事な人に送るだろうなって思って書きました♪ (2017年3月10日 23時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 安田先生ロマンチスト・・・！素敵！ (2017年3月10日 13時) (レス) id: 327514e65b (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 亜季さん» 私も上田さんほどの強さはありません〜(苦笑) そのくせにこんな展開にしてしまう私。笑。安田先生と上田さんのネクストステージ、見守ってくださいねー！またお待ちしてまーす♪ (2017年3月8日 7時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がくたん
| 作成日時：2017年2月13日 12時
