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暫しの無言の後、章大さんがそっと口を開いた。
「……おーくら、シンプルな奴やろ？」
『うん。ほんとに清々しいくらいだね
。』
「亮みたいな不器用なくらいのまっすぐさがあるわけでもないし、信ちゃんのぶれない強さや、渋やんみたいなハートの熱さがある訳でもないねん。」
「ほんっまに、普通ーの奴。格好つけたりせんで、ふつーの事、フッツーに言うねん。」
『見た目は常人離れしてる格好良さだけどね。』
「そうやの。無駄に格好ええからおれが並ぶと、おれのチンチクリンさが際立つねん。」
『ふふっ、褒めてるのかディスってるのかわかんないよ』
「ふはっ、そうやなぁ。」
「でもなぁ、あいつの凄いとこって、あーゆーとこやねん。ほんまに飾らんで、素直な奴…。」
そう笑って、三角座りをして、グビッとコーヒーを飲んだ章大さん。
『大倉先生……本当に、素敵な人だった。』
「おん。」
『さらっと言われた言葉だったのに、私より全然章大さんの事を想ってて、解ってて。』
「……。」
『本当に、敵わないやって思った。』
「敵わない……、なん？」
『え？』
三角座りで膝の上に乗せた顔は海に向けたまま。組んだ指にはコーヒーの缶。
目線だけ私の方に向けて、章大さんは続けた。
「おーくら、追い越したろって、思ってくれへんの？」
『…章大、さ…。』
「ははっ。ほんまおれずるいなーって思ったー。」
「今まで心の奥底で思ってたAへの気持ち、自分の思い。」
「全部おーくらに言わせてもうた。 」
「ずるいなぁ、ほんま…。」
そう、自嘲気味に笑って、膝にオデコをつけて俯いた。
『章大、さん…』
ポツリ、ポツリと話す掠れた声。
「おれさぁ、怖いねん。」
「Aが、おれの事を思ってくれるほど、怖いんよ。」
「Aが同じ業界の人間やから、おれの仕事の事、理解してサポートしようって思ってくれてんの、解ってて。」
「やから、おれがどこか行く言うたら、おれの為にきっと先回りして色々考えて、邪魔にならんようにって、付いて来てくれへんのやろなーって。」
「付いて来て言いたいけど、Aの道も考えて、おれが縛ったらあかんって。渋やんにもそう言われたし。」
「やから、いつか離れる時がくるかもしれんことが、ほんまに怖かった。」
『……。』
「おーくらが言ったAの気持ち。あれ、まんま俺の事も言っとったんやで、アイツ。」
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がくたん(プロフ) - NobuYouさん» Nobuさんのほうが真をついてますよ、大倉先生より(笑)。仰る通り、正解なんてものはなくて。どこに重きを置くかも人それぞれ。想いの強さ、意思の強さ、願いの強さ、絆の強さ…。色んな選択肢があるなかで、この二人は何を選んでいくのか。岐路に立つ二人の話です。 (2017年9月27日 23時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 強くなる…一生懸命頑張ったら強くなれる訳でもないし、自分では強くなったつもりでもまだまだ弱いかもしれないし。難しいですね。大倉先生の言葉、突き刺さります。 (2017年9月27日 21時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 亜季さん» 一歩踏み出して、臆する事なく道を進んでも、上田さんへの愛情、優しさは忘れない。そんな、一皮むけた安田先生ならではのプレゼントでした♪いつもしてるマ○チュのオーシャンにゴールドがあったら、きっと大事な人に送るだろうなって思って書きました♪ (2017年3月10日 23時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 安田先生ロマンチスト・・・！素敵！ (2017年3月10日 13時) (レス) id: 327514e65b (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 亜季さん» 私も上田さんほどの強さはありません〜(苦笑) そのくせにこんな展開にしてしまう私。笑。安田先生と上田さんのネクストステージ、見守ってくださいねー！またお待ちしてまーす♪ (2017年3月8日 7時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がくたん
| 作成日時：2017年2月13日 12時
