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矢島先生がまもなく来るであろう最期の時を診断する為に麻生さんの部屋に向かう。
私もその後に続いた。
その時、
章大さんがオペ着のまま走ってきた。
肩で大きく息をしながら、矢島先生の手に持った聴診器とペンライトを見て、
「っ、エーシス？」
と、上ずった声。
いつもの目深に被ったオペ帽子と、オペ用マスク。
その間の眼は揺れていた。
『ううん、待っててくれたよ。』
章大さんはホッとしたように眉を下げ、ふぅ、とひとつ息を吐いた。
部屋の入り口に向き直って、眼を閉じて深呼吸して、オペマスクを外す。
その横顔は、たった今とは別人のように、穏やかな表情に変わっていた。
矢島先生が差し出した聴診器とペンライトを受け取り、
ｺﾝｺﾝ
「失礼します。」
いつもの、低く 優しい 安田先生の声だった。
その数分後、麻生さんの心臓は動きを止めた。
聴診器を手のひらで温めてから、そっと胸に当てて心臓と呼吸の音がないのを確認して。
二度と開く事のない瞼に優しく触れて、睫毛の反射と瞳孔反射のないことを確認して。
そして、まだ温かい首筋を撫でるように触れて、拍動がないことを確認した。
その手が離れるとき、小さな小さな声で、
「お疲れ様でした…。」
と、呟いた。
そして、最期の診断。
"父は先生の事待ってたんですよ"
"本当にありがとうございました"
涙ながらに口々にお礼の言葉を述べるご家族に深く一礼して部屋を後にした。
麻生さんを送り出す準備で慌ただしくなったナースステーションに戻って、一枚の白い紙を手にして。
「矢島先生、ボールペン貸してくれる？」
矢「いえ安田先生っ、術後でお疲れですし死亡診断書なら私がっ、」
「ええねん。これがさせていただける最後の仕事やから。」
矢「っ、、」
そして、"麻生源五郎" と。
想いを噛みしめるように、丁寧に書いた。
１時間後、麻生さんが自宅に帰る時がきた。
車が出発する瞬間、今度は はっきりと。
「ありがとうございました。」
と、言って。
車が見えなくなるまで、頭を下げ続けた。
矢「安田先生…、私、、大事な事を忘れていました…。」
矢「貴重な学びをありがとうございました！」
矢「今後もご指導お願いします！」
鼻を赤くして、マスクを握りしめて。
深く頭を下げる矢島先生に。
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
章大さんが、優しく 微笑んだ。
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琴子(プロフ) - がくたんさん» いえいえ^^お忙しいのにレスありがとうございます！今年もよろしくお願いします！そして、今年も作品楽しみにしてます！！もちろんお時間ある時にで^^色々考えさせらながら読んでます^^また(^-^)/ (2019年1月14日 9時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - 琴子さん» レス遅れてすみません！明けましておめでとうございます！今年も宜しくお願いします！ (2019年1月13日 22時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - ゆるさん» またまた鈍レスすみません！いつも読んでくださってるなんて嬉しいです！今後とも宜しくお願いします！ (2019年1月13日 22時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - あけましておめでとうございます！今年もよろしくお願いします！また(^-^)/ (2019年1月3日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - ありがとうございます (;;)(;;)いつもがくたんさんのお話読ませてもらっていますがくたんさんが書く安田さん好きです(^^) (2018年12月26日 12時) (レス) id: 48d31a04f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がくたん
| 作成日時：2018年3月21日 21時
