・ ページ10
「…そっか。ほんなら、ここでええ？」
『はい。本当にありがとうございました。』
本当に送ってくれるだけなんだ。
やっぱりジェントルマンというか、何というか…。
少しくらい、悪いオトコになってくれてもいいのになぁなんて、ヨコシマな私の心。
ドアを開けようとしたら、
「っ、ちょおまって。そこガードレールやから、開けやすいトコにズラすわ。ちょお下がるな。」
って、助手席に腕を回して、片手でハンドルを操作して、スーってバックした。
少しだけ近づいた、距離。
心臓の音が聞こえてしまいそうだった。
「はい、ええよ。ごめんなぁ、家の前までやなくて。」
『いえいえっ、本当にっ。とんでもないっ。本当に、ここ入ってすぐですからっ。』
ありがとうございましたってドアレバーに手をかけた時、
「…家の場所分かれば、今度迎えに行くこともできたかなって、思ったんやけどな。」
って。また呟きが聞こえた。
思わず振り返ると、
照れくさそうに襟足をポリポリと指でかきながら、上目遣いで小さく笑う安田さん。
暗い車内で、車内のディスプレイで照らされた、その顔。
息を飲むほどカッコ良くて。
思わず、私の本音が漏れた。
『…そんなことされちゃったら…。もう、今までの色々とか…。私、都合よく勘違いしちゃうもん…』
返事を聞くのも、安田さんの表情を見るのも怖くて。
それだけ呟いてドアを開けて、外に出た。
笑顔を作ってお礼を言おうと思って、
ドアを閉めようと振り返ったら。
「ふはっ、都合よく思っとってよ。」
バンってドアが閉まる瞬間に、
キュッと上がった口角から、
そんな言葉が聞こえた。
びっくりして目を見開いた私に、
「お休み。」
そう言い残して、ﾌﾞｳﾝｯてあっという間に見えなくなった。
私は、耳の奥でいつまでもリピートされているその言葉を繰り返し聞きながら、
いつまでも安田さんの車を見送った。
家に入って、
"ありがとうございました。迷いませんでした？"
例のごとく、何度も読み返して送ったメール。
さっきの言葉には敢えて触れないように。
現実じゃなかったら、聞き間違いだったら、悲しすぎて立ち直れないから。
またすぐに光る、メール受信を知らせるスマホ。
"はまってもうた"
えっ！？
渋滞！？事故！？迷った！？
びっくりしたその直後、再び光るスマホ。
"Aに。"
幸せな現実が始まった。
〜end〜
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がくたん(プロフ) - 私の思うヤスくんは全てが"天然"ですからねぇ。色気も男気も雄も可愛さも、全てオートマチック。変幻自在。本人も言ってますけど、カメレオンですわ。こんな人、二人といないよね。"いそうでいない"、そんな風に書けてると言っていただけて嬉しいです！ (2018年9月15日 22時) (
レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - NobuYouさん» ちょっ！びっくりしたぁーっ！Nobuさん！めっちゃご無沙汰やないですかー！しかもコメントまで！！びっくりして電車の中で小さく"おえっ！？"って叫んでもーて。直後、私の周囲に少し空間ができました(^-^; お元気でしたかー？？久しぶりの絡み、嬉しいですー (2018年9月15日 22時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - やっぱりがくたんさんのお話のヤスっていいな。いそうだけど、こんな可愛くてカッコイイ上司っていないですもの。ヤスって絶対に外さないイメージ。心を鷲掴みするにはどうすればいいか野生の勘でわかってるのかな？計算なのか？天然なのか？ (2018年9月15日 12時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - マシュマロさん» 本家本元の安田さんの可愛らしさと色気、男気と儚さという魅力だったり、何よりも読んでくださる皆様の安田愛が、私と同じ感覚で実像と結びつけながら読んでくださるから！そこに尽きますです！本当に感謝感謝です、また遊びに来てくださいね♪ (2018年7月23日 5時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - マシュマロさん» わぁおー、こちらにまで！ホンマにありがとうございます♪この安田さんの小５感、私も大好きです。書きながら策士安田さんに振り回されました(*>ω<*) 作品毎に違うテイストの安田さんを書くべく頭を悩ませてるのですが、それも全ては→ (2018年7月23日 5時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がくたん
| 作成日時：2017年6月15日 17時
