episode 6 ページ6
私が事務所でやることを終えると、渋谷さんと近くのカフェに入る。
「ここ半個室で結構好きなんですよね」
仕事上、やっぱり顔の売れた人と話をしたりする機会もあるわけで、そんな時にいつも使わせてもらうカフェ。
半個室なのと店員さんの感じがいいから、曲作りにもたまに使う。
ここで作る曲は売れたりするんだよね。
渋「…突然誘ってすんません。」
「あ、いえいえ。こちらこそ待っていただいて申し訳ないです。」
正直言って、何故誘われたのかはちょっとわからないけど。
渋「あー…えっと。俺花田さん、の曲すごい好きで。ちょっと前にピースサインって曲だしとったやないですか、あれがすごい好きで…。」
ピースサイン、という曲はインディーズのソロアーティストさんに提供した曲だった。
…それはインディーズということもあって、あまり売れ行きは伸びなくて。
「よく…知ってますね。すごい嬉しいです。」
曲がいいだけで売れるなら苦労しない。
そこには、アーティストの人気はもちろん、耳に残るか、歌詞の意味は聞いてる人に伝わるか、感情移入できるかって、様々な要因が関わってくるわけで。
万人受けする曲なんて、つまらない。
でもやっぱり提供した以上、誰にも必要とされない曲は書きたくない。
それがプロのプライド、みたいなもん。
でもこうして目の前で、私の曲を好きだと言ってくれる人がいるなら、売れなくたっていいやと思えてしまう。
…これは、プロの弱いところなのかもしれない。
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作者名:柚乃 | 作成日時:2018年1月16日 14時