11.準備は慎重に ページ13
貴方.side
鳥の煩い囀りが控えめに響く仄かに薄暗い部屋で
何時もより断然早い時間に、静かにゆっくりと起き上がる。
眠気で伏し目がちな瞳を擦って時計を確認すれば、針が示す時刻は九時前後。
ソファーで爆睡して凝り固まってしまった身体を解し
毎回勝手に借りている彼の服に、相も変わらず袖を通した。
「ねむ...」
口元から溢れる欠伸を毎度の如く、片手で抑えようとするが
やはり多少の身長差がある為か、ダボついた服のせいで行動がワンテンポ遅れる。
「おはよ、珍しいじゃん」
「ん、おはよ」
居間に繋がる扉が彼方側から突如として開かれ、其処に視線を向ければ
只今着ている服の主が俺の顔を数秒眺めた後に挨拶を交わした。
「何、そんなに俺と一緒に出掛けるの楽しみなの？」
揶揄う様な表情と声の調子で煽ってから、俺の様子を伺う彼の瞳もまた爛々と嬉しそうに輝いているが
その事を指摘してしまうと、多分照れ隠しのつもりのデコピンをかまされてしまうから
ここは素直な俺の心情を明かすしかない。
「うん楽し、み」
だが途中で何故か羞恥心を感じてしまい、後半にかけて段々と声が萎んでいく。
睡眠中に使用していた枕で顔を隠し、真反対の言葉を紡ごうとしたのも束の間
「そか、ほら...飯食うぞー」
一瞬だけ頭上に掌が乗り、必死に言おうとしていた事は意外と軽く流されて
耳を真っ赤に染めた彼はキッチンへと足を運ぶ。
「楽しもーね、お買い物」
「...あぁ」
返って来たのはぶっきらぼうな荒い返事だけど、
端正な顔までもが既に赤くなってしまっているので自然と笑みが零れた。
少しくらいは、この優越感に浸っていてもいいかな
.
家を出る数分前
俺は直ぐ其処にある玄関扉のドアノブに手さえ掛けずに
彼の格好、詳しく言えば顔を指差しながら大爆笑していた。
「さ、サングラスと黒マスク
めっちゃ怪し過、ぎ...るよさっくん」
「仕方ねぇだろ
殆ど顔バレしてるから、こうでもしないと対策出来ない」
フガフガと動く愛らしい口元は黒色マスクで覆い隠されて、怪しさ倍増に瞳に反射して映る。
薄らに漂う嗅ぎ慣れない香水の匂いに顔を顰め、彼との距離を更に近付けて畏れ多くも辿々しく口を開いた。
「これ新しい香水？
ちょっと匂いキツいよ、多分付け過ぎ」
「えぇー、マジ？」
「マジマジ」と何度も呟きながら
彼の身体に思いっ切り抱き着いて匂いを分けて貰う
次いでにサングラスを取るのも忘れずに。
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矢代(プロフ) - さらさらさん» 貴重な感想、有難う御座います！ (2022年7月24日 20時) (
レス) id: 47e380d88a (このIDを非表示/違反報告)
さらさら - と、尊いが過ぎる…！！ (2022年7月24日 15時) (レス) @page32 id: 4475130a0e (このIDを非表示/違反報告)
矢代(プロフ) - ネコ日和。さん» ゑ、あ....い、生きてくだせえ！！(必死) (2022年7月11日 20時) (レス) id: 47e380d88a (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - ぶわああああああ‼ちゅ、ちゅーした‼??やばい、え、どう、あ……(困惑)悶え死ぬ運命しか見えん…笑 (2022年7月9日 21時) (レス) @page29 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)
矢代(プロフ) - ネコ日和。さん» 反則級にイチャつかせました(笑) 大丈夫、ショタ好きは共通性癖です😌👍。ラフの状態ではもっと距離近いかも...、作者の私でも｢もっとやったれ!!｣ってなってるから多分皆そうだと思う(妄想)。 (2022年7月3日 20時) (レス) id: 47e380d88a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：矢代 | 作成日時：2022年6月5日 15時
