77話 ページ39
数日後。
壁上調査では目的の異形の巨人目撃がなかなかされず、壁外調査の決行日が曖昧に浮遊していた。
調査兵団がこの区に来てからまだ1ヶ月は経っていない。
索敵するのも案としてはあるが、壁外に出るだけで死者、損害は生まれる。今回は駐屯兵である自分が参加するのもあり、慎重に機会を探っているところだ。
もちろんその間の訓練は怠る事はないし、作戦をじっくりと練る事が出来るため、焦りはなかった。
僕はというと駐屯兵としての仕事を一旦全て休むことになり、徹底して調査兵団で訓練を積んでいる。
今日もマリアから外の様子を確認してきたらしいが、それらしい巨人は見当たらなかった。
すっかりハンジさんが率いる4班に慣れ親しんだ頃、
それは突然だった。
午前の訓練を終えて、昼の休憩に入った。
調査兵団の人達が各々宿舎に戻ったり、そのまま食堂に向かっていた。
僕はリチェとロイドの3人で、リヴァイ班の人達にアドバイスを貰うのが日課になっている。
今日はなんとリヴァイ兵長が助言をくれた。リチェがぶるぶるに震えながら頼み込んだところ、渋々といった感じで話し出した。
僕が頼んでも『俺のは我流だから人に教えれるもんじゃねぇ』って教えてくれなかったのに。
そして兵長が訓練について話すとロイドとリチェもそうだが、リヴァイ班の人達も血眼になって聞いている。特にペトラさんとオルオさんが身を乗り出していて、尊敬してるんだなあと改めて兵長が凄い人なんだと実感した。
「A!」
宿舎から駐屯兵団の先輩が走って来た。何やら焦っている様子だ。肩で息をして、汗をかいている。
「な、何かあったんですか?」
「お前に会いたいって、客が」
僕に?一体誰だろう。
客人が来ていたとして、なぜ先輩はこんなに焦ってるのだろう。
ロイドとリチェも吃驚したようで、僕と3人で視線を合わせては頭を傾げた。
バタン、勢いよくドアが開かれる音がした、そこは客人を呼ぶ応接間のドアだ。
そこから出てきたのは、一人の男性だった。
いかにも良い素材で作られたコートに、白いシャツ、てかてかと光を反射するネクタイが綺麗に結ばれていた。靴は美しく黒光りしている。
ここら辺では、いや、ローゼでも見かけなかった上質は衣服を身にまとっていた。
20代半ば辺りだろうか、大人びたその人はこちらをじっと見つめている。
155人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時