検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:69,744 hit

72話 ページ34

食堂から逃げ出して、さてこれからどうしようかと外に出る。
空を見上げるとくもひとつなく、星がキラキラと綺麗に輝いて見えた。


自室に戻っても今日はすることがないから、散歩でもしようかな。
今日という1日はとても長く感じた気がする、休暇をもらっていたからだろうか。


騒がしい食堂からまた数名出てきた。流石にあの中では落ち着いて食事は出来ないだろうし、と思いながら見るとエルドさんとグンタさんだった。後に続いてオルオさんと見えたところで思わず走り出す。

あの流れだときっとリヴァイ兵長もいる。
どんな顔で彼と会えばいいか分からなくて、今日は1度も顔を合わせていない。
いや、わかってる。逃げ回る必要はどこにもないんだけど、どうしても、恥ずかしい。


逃げ込んだのは馬小屋で、今日移動で世話になった愛馬のところまで行く。他の馬達は寝てたり、餌を食べていたり、こちらを見ていたり。

2号は僕が来るとすぐに気付いてくれる、もう通路に顔を出して僕を見ていた。


鼻筋から首したを撫でてやる、今日は頑張ってくれたから、ブラッシングと特別におやつもあげた。
おやつと言っても人参だけど。


こうやって馬小屋に入り浸る時がある。
仲間はついに頭が馬になったか、とか訳の分からない事を言ってからかうけど、こうやって動物と過ごすのも悪くないと思うんだ。
無垢で、懐いてくれるこの馬は本当に可愛い。


思う存分戯れたあと、馬小屋をあとにする。もう自室に戻って、放り出されていた荷物を下のベッドに仕舞い直そうかな。

と思っていたところ、突然後ろ襟首をつかまれた。
ぐっと切り上げられ、背伸びをするように足がピンと伸びた。


「……こ、こんばんは」

「こんばんは」


猫のように首根っこを掴まれたまま、襟首を掴む人に、リヴァイ兵長に、挨拶をする。
返事は直ぐに返ってきたが、何やら声色が怖い。ついでに言うならいつも怖い顔に更に皺が寄り、影が出来てる。


「あ、あの、兵長」

「あ?」

「お、下ろしてもらってもいいでしょうか」


その願いに彼は無言のまま僕を見詰め……いや、睨み付けている。

なんだ、なんだ。
なんでこんな彼は怒ってるんだ?


「逃げんじゃねえぞ」

「え?」

「今日散々俺のこと避けてたろ」


心当たりがあり過ぎて何も言えない。
だって、恥ずかしかった。
まさか避けていること自体に気付かれていたとは思ってなかった。彼に僕が認識される前にいなくなってたつもりだから。

73話→←71話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.0/10 (79 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
設定タグ:リヴァイ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。