72話 ページ34
食堂から逃げ出して、さてこれからどうしようかと外に出る。
空を見上げるとくもひとつなく、星がキラキラと綺麗に輝いて見えた。
自室に戻っても今日はすることがないから、散歩でもしようかな。
今日という1日はとても長く感じた気がする、休暇をもらっていたからだろうか。
騒がしい食堂からまた数名出てきた。流石にあの中では落ち着いて食事は出来ないだろうし、と思いながら見るとエルドさんとグンタさんだった。後に続いてオルオさんと見えたところで思わず走り出す。
あの流れだときっとリヴァイ兵長もいる。
どんな顔で彼と会えばいいか分からなくて、今日は1度も顔を合わせていない。
いや、わかってる。逃げ回る必要はどこにもないんだけど、どうしても、恥ずかしい。
逃げ込んだのは馬小屋で、今日移動で世話になった愛馬のところまで行く。他の馬達は寝てたり、餌を食べていたり、こちらを見ていたり。
2号は僕が来るとすぐに気付いてくれる、もう通路に顔を出して僕を見ていた。
鼻筋から首したを撫でてやる、今日は頑張ってくれたから、ブラッシングと特別におやつもあげた。
おやつと言っても人参だけど。
こうやって馬小屋に入り浸る時がある。
仲間はついに頭が馬になったか、とか訳の分からない事を言ってからかうけど、こうやって動物と過ごすのも悪くないと思うんだ。
無垢で、懐いてくれるこの馬は本当に可愛い。
思う存分戯れたあと、馬小屋をあとにする。もう自室に戻って、放り出されていた荷物を下のベッドに仕舞い直そうかな。
と思っていたところ、突然後ろ襟首をつかまれた。
ぐっと切り上げられ、背伸びをするように足がピンと伸びた。
「……こ、こんばんは」
「こんばんは」
猫のように首根っこを掴まれたまま、襟首を掴む人に、リヴァイ兵長に、挨拶をする。
返事は直ぐに返ってきたが、何やら声色が怖い。ついでに言うならいつも怖い顔に更に皺が寄り、影が出来てる。
「あ、あの、兵長」
「あ?」
「お、下ろしてもらってもいいでしょうか」
その願いに彼は無言のまま僕を見詰め……いや、睨み付けている。
なんだ、なんだ。
なんでこんな彼は怒ってるんだ?
「逃げんじゃねえぞ」
「え?」
「今日散々俺のこと避けてたろ」
心当たりがあり過ぎて何も言えない。
だって、恥ずかしかった。
まさか避けていること自体に気付かれていたとは思ってなかった。彼に僕が認識される前にいなくなってたつもりだから。
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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時