71話 ページ33
食堂では駐屯兵の男性陣による壮絶な争いが起きていた。
まさか、まさかこんなことになるなんて。
数分前に遡る。
炊事場に数人を連れて向かい、気温が低い地下倉庫に入る。
僕が買ってきたものは“チーズ”という食べ物だった。牛乳自体は珍しいものではないが、加工品となると一気に値が上がり、あまり食べられるものではない。
僕自身もチーズを見たのも食べたのも初めてだった。何を買おうか市場をフラフラと歩いていたら、白いエプロンをしたおじいさんに呼ばれ、食べてみないかと促された。
1口試食させてもらった時、美味しすぎてびっくりした。これは買おう。そう思って、貰ったお金で変えるだけ買った。
ヨーグルトというのもあったが、冷やしていないとダメになるということなので諦めた。
……味見させてもらったらよかったかな。
3人で円柱の形をしたチーズを食堂に持って行く。
駐屯兵のほとんどの人がチーズを初めて見るらしく、集ってそれを囲んだ。調査兵団にもそういった人達がいるようで、ふたつの兵団が混じってチーズを観察した。
とは言っても、殆どがおそらく身分の低い兵士だ、自分と同じように二等兵や今年から入った新兵の人達だろう。
隊長や団長、立場が高い人達は和やかな視線で僕達を眺めてた。
「おい、これそのまま食うのか？」
「うん、一口サイズに切ってそのまま」
僕は炊事場から持ってきた包丁でとにかくたくさん、細かくチーズを切り分ける。
集まった全員で1つずつ摘み、各々が口に運ぶ。
しばらく咀嚼したあと「すげえ！」「美味しい！」など好評価な声が上がった。
そこから、そこからだ。
舌が飢えていた駐屯兵の彼らにとってチーズというのは相当美味しかったらしく、僕から包丁を取り上げては寄って集ってチーズを取り合った。「俺に切らせろよ」「そっちの方がでかいだろ」「お前食いすぎた」とか。
何が大変ってそこに調査兵の人達も混ざってるからだ。
誰が食べるかを対人で決めようとするものも現れて、そりゃあもう大惨事。
食堂が訓練所みたいな状況になりつつある中、僕はひっそりと抜け出した。
食べ物ひとつであんな騒ぎになるとは思ってもいなかった、もう暫くもすれば隊長が喝を入れる様に彼らを鎮めてくれるだろう。
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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます､絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (
レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね！絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜！マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします！！ (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです！！これからも頑張って下さい！応援してまーす！更新楽しみにしてます！ (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やし野 | 作成日時：2018年3月31日 23時
