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63話 ページ24

「僕が、女だったら、兵長も……嬉しかったかなって」


別に自分が女だから彼との関係を公に出来るとか、一時的な感情かもしれないという不安が拭えるといった理由ではない。
ただ、やっぱり。
こんな中途半端なものであるなら、どっちかはっきりしていた方がいいだろうし、世間的な目もある。


「今日はやけに間抜けな事ばかり言うな」

「ま、真面目ですよ…!」


はぐらかされたくなくて、少し強く言った。別に訊き出したから何かが変わるわけじゃない。でも、どうしても訊かずにはいられなかった。


「なぁ、A」

「はい」

「俺はお前が女だろうが、男だろうが正直なところどっちでもいい。お前は自分の外見を気にして不安になってるようだが、俺からするなら偶然女みたいな奴だったってだけだ」

「でも、執務室でのとき、男は好みじゃないって」

「それはその時までの話だ、男に手を出したのはお前が初めてだよ」

「僕が女性でも、男性でも同じようにしてました…?」

「してた、同じように。他の兵団であろうが、兵士でなかろうが、お前と出会うことが出来ていたなら今と何も変わらない」


心臓を鷲掴みでもされたかのように、胸がギュッとなった。
そうか、そうなんだ、よかった。
安堵と、喜びと、また膨れつつある彼への想いで心が溢れかえる。


「…ありがとうございます」


兵長は僅かに口元を緩め、小さく頷いた。


「A」

「はい」

「お前の事を教えてくれないか」


僕のこと?
突然どうしたんだろうと思いながらも、兵長が自分のことを知りたがってくれていると思うと嬉しかった。


「どんな事を知りたいですか」

「昔のことを。話せるところまででいい、聞かせてくれるか」


昔のこと、どうだろう。どこから、どこまで話そう。
本来なら他人には話したくないことだが、彼も同じく地下街出身だ。ほんの少しだけ、話してみようかな。


「物心が付いた時には、地下街にいました。毎日、その、やる事があって淡々とこなしてるだけで、割と、満足した生活だったかもしれませんね」

「親は?」

「おや……は、生みの親の顔は知りません。いつ生まれたのか、どこで生まれたのか。実は自分が本当に17歳なのか分からないんです、出生が不明で」


兵長は絡めていた手を解いて、頭のてっぺんから顔の横へと撫でてくれる。小さく「うん」と相槌を添えながら。

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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時

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