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49話 ページ9

「おい」

声と共に腕を掴まれ、後に無理矢理引っ張られた。肩に回されていた腕が解け、圧迫感がなくなる。

突然の事で尻餅を付きそうになるが、何とか踏ん張って持ちこたえる。まだ腕は掴まれたままで、その力は強く、少し痛かった。
自分の腕を掴むその先を見ると、先程まで会いたいと願っていたリヴァイ兵長だった。
こんな、こんなタイミングのいい事があるのか。

「何やってる」

その言葉は僕に向けてではなく、先程の調査兵に。いつもより声も低く、不機嫌そうだ。

「いや、すみません、なにも」

先程までの勢いは消え、彼は「失礼します」と早口で言うと階段の方へと行ってしまった。
僕と兵長は無言でそれを見届ける。彼はゆっくりと掴んでいた僕の腕から手を離した。

「お前も何やってんだ」

その言葉は、僕に向けて。

「ああいうのはちゃんと否定しやがれ、じゃねぇと余計に近寄られるぞ」

「ご、ごめんなさい」

手を煩わせてしまい、申し訳なさでいっぱいになる。そうだ、ちゃんと否定していれば良かったものを。

「どうした」

「え?」

「汗が酷い」

兵長はそう言うと手を伸ばして僕の前髪を横に流し、指の甲で額を撫でた。拭われたところがひんやりとする、顎からぽたりとまた汗が落ちた。暑くはない、むしろ寒気がしていたのに、嫌に汗をかいていたのだ。

「あの、兵長」

「なんだ」

「……ちょっと、あ、会いたく、て」

言い終えてから、何もこんなストレートに言うことはなかったと、顔に火が灯ったかのように熱くなった。今度こそ熱い、熱くてさらに汗をかきそうだ。

彼はその言葉に驚いたのか、珍しく目を見開いている。
よく見ればまだ彼は兵服だ、時間も空けずに会いに来てしまった。自分の気の使えなさに嫌気がさしてしまう。

「来い」

そう言うと彼は僕の手を引いて歩き出した。
階は変わらず、奥へと歩く。

こんな手を引いているところ、他の兵士に見られてはいけないんではないだろうか。
そう言おうかどうか迷っているうちに、彼の足は止まる。

ここは、駐屯兵が使っている宿舎の隊長や秘書の人が使ってる位置にあたる部屋だ。
兵長はドアを開けて、また僕の手を引いて中に入る。

上司が使う部屋をまだ見た事はなくて、二等兵の自分が使っている部屋よりも遥かに広々としていたのに驚いた。

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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時

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