79話 ページ41
僕の、出生…?
「君の生みの親……母親を見つけることが出来たんだ。その婦人から君の父親を調べ、そしてここにいらっしゃる方が、腹違いのご兄弟になる」
腹違い、という事は母親が違うということだ。兄といっても、義兄といったところになる。
いや、そもそも何で父親ではなく義兄であるこの人がこの場にいるのだろうか。
出生の記録に、義兄、生みの親が明らかになる。これらを飲み込むにはあまりにも唐突で、どうしたら、どう答えたらいいのか分からない。
肩に隊長の手が置かれる。
「大丈夫か」
いつになく静かな声だった、活気溢れる隊長の声ではない。僕は1度深呼吸をしてから、はい、と答える。
「A」
義兄に名前を呼ばれて、そちらに視線を向ける。その顔立ちはやはり自分に似ていて、血縁者である事が事実であることを実感させられる。
「はい」
「急なことで混乱するのもよく分かる、私から君の出生と、家系について話したい。聞いてくれるかい?」
僕はゆっくりと、頷いた。
「ありがとう。改めて、私はフォスター・プライス、君の兄、いや義兄になる者だ。家族は母親、14の弟と10になる妹、君は次男になる。プライス家は代々伝統ある小さな貴族だ。君の母親である女性は、私の家に使える家来だった。君はその女性と、父の間に生まれた子供だ」
つまり、言ってしまえば父親が浮気同然のようにして生まれたのが、僕ということだ。
知りたいようで、知りたくなかった。
「君が生まれた場所は、ローゼの宿屋だ。それ以降は、君もわかってると思う、ここで口にするのはやめておこう」
その方が有難い、改めて人身売買によって地下街に行き、解体屋としていた事は言葉にされたくない。
「君の存在を知ったのは、数ヶ月前になる。そのきっかけが、私と君の父親による病死だった。死に間際に、君の事を父が話したんだ。義弟がいると」
何故、父親が僕の事を話したのか。
話さないままでいる方が、家族の仲もよかったんではないだろうか。そんな疑問を抱いても、それに答えてくれる男はもうこの世にはいない。
「その事を知った時、君に会いたいと思ったんだ。どんな形であれ、血の繋がった家族なのだから。もしかしたら、君は会いたくなかったかもしれないが…」
その後に言葉は続かず、義兄は僕の様子を伺ってる。
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やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます、絵を褒めてもらえるのは嬉しいです!! かっこいいと言われて主人公くんも喜んでるはず!笑 (2018年7月10日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - イラスト拝見させて頂いたのですが、めっちゃかっこいいですね!絵がとてもお上手ですね (2018年7月10日 14時) (レス) id: bc0cb92646 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Rainさん» 嬉しいお言葉たくさんありがとうございます〜!マイペースに頑張っていくので宜しくお願いします!! (2018年7月2日 17時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごく面白いです!!これからも頑張って下さい!応援してまーす!更新楽しみにしてます! (2018年7月1日 22時) (レス) id: e08e47c2f9 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - Soleilさん» ありがとうございます。コツコツ書いていくので今後とも宜しくお願いします(^O^) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3f26a78505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やし野 | 作成日時:2018年3月31日 23時