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タクシーは走り出す。
これからディナーだというのに。
「いつまでそうやって我慢してるつもり？」
怒ったような顔で私を見下ろす櫻井くん。
「ムカついてたんだ、ずっと」
「え……？」
「俺なら絶対に幸せにしてやれんのに。Aは何であんな男のとこにいるんだよ」
「……」
「Aは裕貴さんに洗脳されてるんだ。
本当は好きでもないのに、いいように利用されてるだけだって知ってて気付かない振りをしてるだけ。
もうやめよう、こんなこと」
今までのつもり積もったものを発散するように、櫻井くんが捲し立てる。
洗脳されてる？
私が？
真実から目を逸らしていたのは本当だけど、洗脳だなんて。
「そんな……」
「いいから黙って言うことを聞け」
有無を言わせずに繋がれた手。
命令調の言葉とは裏腹に、温かさが伝わって来る。
「俺と一緒に暮らそう。
絶対に後悔させないから」
「……」
「それともまだあの人と嘘にまみれて暮らしたいの？」
嘘にまみれて……？
そんなの嫌。
黙って首を振る。
嘘だったのかな。
私と裕貴との関係は、最初から嘘で上塗りされていたものだったのかもしれない。
愛していると思っていたことも、愛されていると思っていたことも、全部。
「気付けて良かったと思おう。
Aは裕貴さんのためにいるんじゃない。自分の人生を歩まなきゃ」
「うん……」
「うちに来なよ。その後のことはゆっくり考えればいい」
ゆっくりと頷く。
櫻井くんは安堵したように頬を緩めた。
タクシーは私と裕貴のマンションの前に着く。
「櫻井くん……」
「ここで待ってるから。
ちゃんと荷物をまとめて持っておいで」
櫻井くんは私を降ろして、そう言った。
私は急いで部屋へと向かう。
エレベーターの中で、落ち着こうと深呼吸する。
目を閉じると、急に裕貴の笑顔が浮かんできた。
今はこうなってしまったけど、彼との楽しい思い出はたくさんある。
初めてのデート。
初めて一緒に迎えた朝。
私を喜ばせようと、一生懸命祝ってくれた誕生日。
本当にこれでいいの？
裕貴との生活を捨てて、櫻井くんと一緒になれる？
後悔しない？
ううん。
後悔したっていい。
櫻井くんがおいでって、そう言ってくれてるんだもの。
待っていてくれる人がいるのは、幸せなこと。
行かなくちゃ。
止まらない涙を拭きながら、私は必死になってスーツケースに荷物を詰めた。
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yuko(プロフ) - よっしーさん» よっしーちゃん、感想ありがとう♪新しいお話を立ち上げますよ〜長らくお待たせしちゃってごめんなさい！ (2018年3月15日 0時) (
レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー - ドキドキハラハラしたよ(*_*)続きが楽しみだよ〜。更新待ってるね(^o^)/ (2018年3月3日 15時) (レス) id: a1ac4d5582 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - keiさん» keiちゃん、感想ありがとう♪ドキドキしてくれてありがとう！そうそう、イケメンってのはそれだけで正義だから(笑)更新が滞っててごめんね、章を変えて次のお話を書こうと思ってます☆ (2018年3月2日 23時) (レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪うんうん！主人公のことを愛してくれるんなら構わない、逃げ道塞がれたようでちょっと怖いけど、そんなところも好き(*´∀`*)全然更新できなくってごめんね、そろそろ次のお話に手を付けようかと思ってます☆ (2018年3月2日 22時) (レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ﾅｵさん» ﾅｵちゃん、感想ありがとう♪色々と負の感情を引き出しちゃってごめん(-人-;)確かに七瀬さんは口が軽いね、仲良くなりたくないかも。裕貴も最低だけど主人公も浮気してたから大概だよねｗ賢い翔さんはまんまと主人公を手に入れたって訳です(*´∀`*) (2018年3月2日 22時) (レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2018年1月16日 0時
