14 ページ14
図書館の壁に映し出された映像は美しくて、観客から何度もため息が漏れた。
本当に素晴らしかった。
雅紀くんのことを誇りに思う。
皆に自慢したい。
私の彼氏はこの図書館を作ってるんだよって。
「感動したー！映像であんな風に出来るんだね！」
「すごいよね、あの技術」
「あの図書館を作った雅紀くんも凄いよ」
「アハッ、そうかな？」
「そうだよ！もっと威張っていいよ！」
「じゃあ威張っちゃお」
エッヘンと胸を張った雅紀くんが可愛くて、私の心はワナワナ震える。
かっこいいのに可愛いだなんて、私の彼氏は最強だ。
マンションに帰ってきた私達は、エレベーターに乗る。
お酒と雅紀くんに酔って、私の足元がちょっとふらついた。
「おっと、大丈夫？」
「ごめん……っ」
肩を支えてくれた雅紀くんの顔が近い。
そのまま引き寄せられて、抱き締められて。
「ちゃんと掴まってて」
彼の声が、頭の上から響いてくる。
こんなシチュエーションも、何度目だろう。
なのにまた、私の心臓はうるさく騒ぎ始める。
コート越しに私の鼓動が伝わってしまいそうで、どうしたらいいのかわからない。
「A」
「はい……」
「今朝は気ぃ使わせちゃってごめんね」
「ううん」
「思いっきり邪魔されたし」
「うん……？」
「でも、奴は帰ったし。もう好きにしていいよね？」
雅紀くんが私の顔を覗き込む。
私が頷くと、雅紀くんはちょっとだけ口角を上げた。
さっきとは違う種類の、溶かされちゃうようなキス。
吐息の合間に、彼が囁く。
「今日もお風呂入る？」
「えっ……あ……
今日はベッドがいい……」
「いいって何が？」
「えっ！？……あの」
言葉に詰まる私を見て、ニヤッとする雅紀くん。
わかってる癖に！
けど、もうお風呂でスるのはやめよう！
二宮さんがどこで聞き耳を立てているかわからないんだもん！
なんて、言えないけど。
「でもA、すげえ濡れるじゃん。いつもシーツがびしょび」
「ぎゃっ！言わないでっ！」
ここぞとばかりに意地悪な雅紀くん。
(そんなところも好きなんだけどね！)
顔を隠した私の腕を、彼が優しくほどいていく。
「じゃあバスタオル敷こっか」
「うん……」
可愛く小首をかしげる雅紀くん。
私は既に撃沈。
彼の部屋のあるフロアに着いたエレベーターを、彼に支えられながら降りると。
「おっせーよ！」
部屋のドアの前には、何故か二宮さんが立っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もここ*(プロフ) - ワンコは予想外でした！カズは亡くなってるのかな、って思ったけどまさかのワンコ！それを知って思い返せば、おねしょとか看病とか…ん？って読んだ時に感じた違和感が納得に変わって凄いって感激。読了後のほわほわ感が半端ない(●≧艸≦)素敵なお話をありがとう！ (2019年3月13日 8時) (
レス) id: a563d1ab23 (このIDを非表示/違反報告)
卯奈 - あああ〜！最高な物語です！最後のは予測不可能です。独特な発想で新しい物語、素敵です！素晴らしい物話ありがとうございました！ (2018年1月14日 16時) (レス) id: 2ee62e6d6e (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 一気読みしてしまいました。(*´∇｀*) 和くんは何時もどんなときも、形を変えながら依り代を変えながら、時を越えても大好きな雅紀君に寄り添って行くのですね。( 〃▽〃) この主人公ちゃん大好きです。ヽ(*´▽)ノ♪ (2018年1月11日 20時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪カズ＝犬を予想していなかった！？冒頭からバレバレだと思ってたけど違ったんだね(笑)プロポーズしてくれたよ、私も雅紀くんに言われたいｗこちらこそいつも読んでくれてありがとう！また新しいお話が浮かんできたので両立頑張ります♪ (2018年1月7日 10時) (レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ﾅｵさん» ﾅｵちゃん、感想ありがとう♪そうなんだよ！だから最初からカズはまあくんの言うことが絶対だったし玄関で帰りを待っていたりと犬モード全開だったの！忠犬だよ〜まあくんにとって主人公が一番だからカズも従うはず。櫻井カップル？考えてもみなかった！ (2018年1月7日 10時) (レス) id: c2650238d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年12月7日 7時
