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三学期。
３年生のいない校舎はどこか物足りなくて、でも埋められるものなんかなくて。
学食は１年生と２年生でいっぱい。
だけど流川先輩も早島先輩もいない。
「寂しいね……」
「うん……」
「でも、頑張ってるんだもんね。先輩たち」
「そうだよね！
あたしたちも頑張んなきゃね！」
自分に言い聞かせるように頷きながら、私はカツカレーを頬張る。
地味に願掛け。
だって今日は、早島先輩の本命の大学の受験日。
私までドキドキしているのを、蘭はきっと気付いてる。
「合格するといいね、早島先輩」
「うん……」
「受かったらさ、皆で遊びに行こうよ。
もう最後なんだし」
「そうだね……」
「もしかしてもう約束してた？」
黙って頷く私に、蘭は「マジか」って笑った。
「さすが早島先輩、抜かりない」
「でもさ、多分私が他に好きな人がいるってわかってるの、先輩」
「そっか……健気だね、あの人」
健気、かあ。
もしかしたら、先輩も私と同じ気持ちなのかもしれない。
好きになったって絶対に手が届かない相手に手を伸ばそうとして、小さな望みを繋いで。
先輩のすごいところは、それでも真っ直ぐ私に気持ちを伝えてくるところだ。
叶わないとわかっていても、それでも。
だけど、私は。
この想いを口にすることさえ許されない。
先生を困らせることは絶対にしたくない。
１月が終わり、２月が過ぎ。
３月になると、風は途端に春の空気を運んでくる。
それは、もうすぐ卒業入学のシーズンだということを否応なく実感させられて。
もうすぐ先輩たちが居なくなってしまうという寂しさに溜め息。
いつもの屋上。
ここから見える海は今日は一段と穏やかで、空と一体となって溶けてしまいそう。
先生と初めて会った時も、私はあの海に惹かれて。
つい縁ギリギリの場所まで行っちゃったんだったなあって思い出す。
先生はまだ来ない。
借りていた本のことで話があったのに。
忙しいのかな。
もうすぐ松本さんが迎えに来る時間だ。
でも、どうしても今日じゅうに聞いておきたい。
あと少しで、あの本を読み終る。
そうだ、英語科準備室に行けばいいじゃん。
もしかしたら、櫻井先生がいるかもしれないし。
軽い気持ちだった。
この時の私は、何も考えていなかった。
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しらぽん - りかさんと櫻井先生の話にはほんとに感動して、涙か止まりません！！早島先輩も可愛いし、ほんとにこの物語大好きです！いつも応援してます！ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 8e1111f078 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ミカさん» ミカちゃん、感想ありがとう♪早島先輩かっこいいでしょ？ヘタレだと思われてるかもしれないけど、やるときはやる男なのよ！主人公モテモテだね。本人は全然気付いてないけど。先輩にこんなに想われていてうらやましいけど、もうすぐ遠距離なのだー( ；∀；) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪先生も早島先輩も、そして主人公も。それぞれに辛い思いを抱えているという切ないお話。皆が皆幸せになれればいいのだけど、三角関係なだけに誰かが幸せになったら陰では誰かが悲しい思いをしないといけなくなっちゃうね(T_T) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 櫻井先生に正面きって主人公ちゃんのこと泣かせたら許さないって言ってくれる早島先輩イケメン( ；∀；)でも主人公ちゃんとしては櫻井先生の反応に心が痛みますよね、、早島先輩サイドで、先輩の焦りとか主人公ちゃんへの想いが伝わってきてキュンとしました(*´ω｀*) (2017年7月27日 8時) (レス) id: 0a45e69d80 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - やっぱり先生だ！先生サイドになって考えると好きだと言えない辛さ…(T^T)先輩としてはやっぱり主人公ちゃんを幸せにしたいですよね(。´Д⊂)なのにもうすぐ大阪…遠いなぁ〜( ；∀；)先輩の気持ちも痛い程伝わってきます！どうか皆幸せになれますように… (2017年7月27日 6時) (レス) id: aebdb910e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年6月19日 6時
