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先輩の家は、片付いているというよりも物自体が無くなっていた。
リビングからはダイニングテーブルもテレビも消えて、ソファーと小さなテーブルがポツンと残っているだけ。
「がらんとしてる……」
「昨日色々リサイクルショップに売っちゃったみたい、うちの親。
まだ俺が住んでるっつーのにね」
そうなんだ。
着々と引き払う準備を進めているんだ？
なんか……寂しいな。
「ここにはいつまで？」
「今月いっぱいかな。
でも、実質俺がいなくなったらおしまい」
アイスやプリンを冷蔵庫にしまいながら、先輩が笑う。
笑えるような話じゃないのに。
「でもさあ。いざ出るとなったら名残惜しいよね」
「うん……」
「一応昔は、家族仲良く暮らしてた時もあったし。
Aちゃんとの思い出もあるしさ」
「せんぱ……」
「俺の名前は？」
「篤人くん……」
名前を呼んだだけで、先輩が嬉しそうに微笑む。
もうすぐ先輩は、ひとりぼっちになってしまうのに。
知らない街で、ひとりでやっていかないといけなくなるのに。
平気な振りなんかしないで、本音を話してほしい。
私は、先輩の本当の気持ちを知りたくて。
ギュッと抱き付いた。
「どした？
部屋まで待てない？」
「……違うよ」
「なんだ、違うの？」
耳元で、先輩はクスクス笑う。
私は先輩の力になりたい。
辛いときは辛いって言ってほしい。
「私……私ね……」
「ん、大丈夫」
私が言いたいことを全部わかっているかのように、先輩は私の体を包む。
「俺はAちゃんが居てくれれば平気だよ」
「……」
「これで本当にひとりだったら死んでたかもしれないけど」
「そんなこと言わないで……」
「冗談だよ。子供じゃないんだし」
見上げた先輩の顔は、冗談を言っているようには思えない。
穏やかだけどやっぱり悲しそうで。
苦しくなる。
私にできることなら、何でもしてあげたくなる。
「Aちゃん？」
「……」
「大丈夫、ひとりじゃないから」
「ん……」
「部屋行こうか」
先輩は、私の手を引いて歩き出した。
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しらぽん - りかさんと櫻井先生の話にはほんとに感動して、涙か止まりません！！早島先輩も可愛いし、ほんとにこの物語大好きです！いつも応援してます！ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 8e1111f078 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ミカさん» ミカちゃん、感想ありがとう♪早島先輩かっこいいでしょ？ヘタレだと思われてるかもしれないけど、やるときはやる男なのよ！主人公モテモテだね。本人は全然気付いてないけど。先輩にこんなに想われていてうらやましいけど、もうすぐ遠距離なのだー( ；∀；) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪先生も早島先輩も、そして主人公も。それぞれに辛い思いを抱えているという切ないお話。皆が皆幸せになれればいいのだけど、三角関係なだけに誰かが幸せになったら陰では誰かが悲しい思いをしないといけなくなっちゃうね(T_T) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 櫻井先生に正面きって主人公ちゃんのこと泣かせたら許さないって言ってくれる早島先輩イケメン( ；∀；)でも主人公ちゃんとしては櫻井先生の反応に心が痛みますよね、、早島先輩サイドで、先輩の焦りとか主人公ちゃんへの想いが伝わってきてキュンとしました(*´ω｀*) (2017年7月27日 8時) (レス) id: 0a45e69d80 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - やっぱり先生だ！先生サイドになって考えると好きだと言えない辛さ…(T^T)先輩としてはやっぱり主人公ちゃんを幸せにしたいですよね(。´Д⊂)なのにもうすぐ大阪…遠いなぁ〜( ；∀；)先輩の気持ちも痛い程伝わってきます！どうか皆幸せになれますように… (2017年7月27日 6時) (レス) id: aebdb910e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年6月19日 6時
