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急な坂道の茂みを抜けると、途端に視界が開ける。
岩場と、小さな砂浜。
海だ。
波が寄せては返す音。
揺れる草木のざわめき。
それ以外は何もない世界。
いつも屋上から眺めていた海が、すぐそこにある。
空は泣き出しそうな鉛色で、同じ色を映す水面。
さっきまで晴れて穏やかだったはずなのに、風でさざ波立っている。
いつも屋上から見ているのと違って、間近で見る海は飲み込まれてしまいそうで怖い。
ここで本当に理香さんは命を絶ったのかな。
ひんやりとした風が吹く。
ぞくりと背筋に悪寒が走った。
早くここを離れたいって、私の本能が叫ぶ。
ここは人を寄せ付けない場所。
来てはいけなかった所。
でも、私は櫻井先生に会わなきゃいけない。
先生は……？
櫻井先生は本当にここにいるの？
冴木先生が言っていたことは、もしかしたら間違いかもしれないなんて思っていたのに。
遠くに視線を移すと、狭い海岸線の少し手前。
砂浜にへたりこむように座る人影。
櫻井先生の姿が見えた。
ローファーに砂が入って歩きづらくて、崖のような道を降りてきたことで足が縺れて。
何度も転びそうになる。
それでも、私は先生の元へと向かう。
先生の足元には、小さな花束。
それと、いくつものビールの缶が散乱していた。
先生は虚ろな表情で海を見詰める。
唇が、微かに「りか」と動いたように見えて、私は足が止まる。
先生は、今もそんなにその子のことが好き？
どんなに時が経っても忘れられないの？
そして私は、その子の代わりだった？
涙で視界が滲む。
私は私でありたかった。
例えただのいち生徒であっても、誰かの代わりにはなりたくなかった。
でも、櫻井先生は。
私とその子を重ねていたからこそ、私に優しくしてくれたんだ。
先生は徐に立ち上がって、海へと歩を進める。
何処へ行こうとしてるの……？
まさか、このまま海に？
止めなきゃ！
先生が行ってしまう。
「先生っ！」
私の叫ぶ声に、櫻井先生が振り返った。
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しらぽん - りかさんと櫻井先生の話にはほんとに感動して、涙か止まりません！！早島先輩も可愛いし、ほんとにこの物語大好きです！いつも応援してます！ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 8e1111f078 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ミカさん» ミカちゃん、感想ありがとう♪早島先輩かっこいいでしょ？ヘタレだと思われてるかもしれないけど、やるときはやる男なのよ！主人公モテモテだね。本人は全然気付いてないけど。先輩にこんなに想われていてうらやましいけど、もうすぐ遠距離なのだー( ；∀；) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪先生も早島先輩も、そして主人公も。それぞれに辛い思いを抱えているという切ないお話。皆が皆幸せになれればいいのだけど、三角関係なだけに誰かが幸せになったら陰では誰かが悲しい思いをしないといけなくなっちゃうね(T_T) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 櫻井先生に正面きって主人公ちゃんのこと泣かせたら許さないって言ってくれる早島先輩イケメン( ；∀；)でも主人公ちゃんとしては櫻井先生の反応に心が痛みますよね、、早島先輩サイドで、先輩の焦りとか主人公ちゃんへの想いが伝わってきてキュンとしました(*´ω｀*) (2017年7月27日 8時) (レス) id: 0a45e69d80 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - やっぱり先生だ！先生サイドになって考えると好きだと言えない辛さ…(T^T)先輩としてはやっぱり主人公ちゃんを幸せにしたいですよね(。´Д⊂)なのにもうすぐ大阪…遠いなぁ〜( ；∀；)先輩の気持ちも痛い程伝わってきます！どうか皆幸せになれますように… (2017年7月27日 6時) (レス) id: aebdb910e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年6月19日 6時
