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冴木先生は、困惑する私を悲しい目で見た。
「私はあなたが傷付くのを見たくないの。
お願い、これは返して」
それは、本当に私のことを思って言っているように聞こえて。
これ以上私が粘っても無駄で、我儘な子供みたく思われる気がして。
諦める意外に、私には選択肢がないように思えた。
私の知らない何かが、この本にはあって。
櫻井先生と冴木先生は、それを知ってる。
燻り始める感情。
冴木先生はやっぱり、櫻井先生のことが好きで。
櫻井先生を何かから必死で守ろうとしているように見える。
私は所詮、部外者だった。
ふたりの秘密なんて、知る由もなかった。
英語科準備室を後にして、玄関へと向かう。
泣き出したい気持ちを抑えて、フラフラ歩く。
お迎えの時間はとうに過ぎていて、車のドアにもたれて煙草を吸う松本さんの姿が見えた。
私を見付けて、火を揉み消す。
「お前、スマホを何のために持たせたと思ってんだよ」
「すいませんでした……」
「何その顔」
松本さんの冷えきった手が、私の頬に触れる。
うつむく顔を無理やり上げられて、目が合うと。
松本さんは眉間に皺を寄せて、私を睨んだ。
「また……今度はどうした」
「何も……なんでもない……」
「何でもない奴がそんな顔するか」
「……」
「取り合えず乗れ、さみい」
私を車に押し込めて、松本さんは強引にドアを閉めた。
車の中は暖かい。
松本さんの香水と煙草が混ざった匂いがする。
「何だよ、今度こそ先生に振られたか」
「違います……」
「じゃあ何だよ」
「松本さんには関係ない」
「うわ、感じ悪。
人がせっかく心配してやってんのに」
「……」
「どうせ櫻井先生絡みのことだろ」
どうせって何よ……
その通りだけど、なんかムカつく。
「諦めろって何度も言ってんだろ」
「わかってるよ……」
「一途だねえ。
それとも絶対に手が届かないからこそ燃えるとか？」
「放っといてくれます？」
「そうはいくかっつーの」
相変わらずしつこいな。
松本さんは私の送り迎えだけしていればいいじゃん。
なんて、毒づいてみたけど。
知ってる。
松本さんは本気で私を心配してくれてる。
「まあさ……耐えきれなくなったら言えよ、慰めてやるから」
「……はい」
急に優しい声になった松本さんに、私は素直に返事をした。
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しらぽん - りかさんと櫻井先生の話にはほんとに感動して、涙か止まりません！！早島先輩も可愛いし、ほんとにこの物語大好きです！いつも応援してます！ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 8e1111f078 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ミカさん» ミカちゃん、感想ありがとう♪早島先輩かっこいいでしょ？ヘタレだと思われてるかもしれないけど、やるときはやる男なのよ！主人公モテモテだね。本人は全然気付いてないけど。先輩にこんなに想われていてうらやましいけど、もうすぐ遠距離なのだー( ；∀；) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪先生も早島先輩も、そして主人公も。それぞれに辛い思いを抱えているという切ないお話。皆が皆幸せになれればいいのだけど、三角関係なだけに誰かが幸せになったら陰では誰かが悲しい思いをしないといけなくなっちゃうね(T_T) (2017年8月2日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 櫻井先生に正面きって主人公ちゃんのこと泣かせたら許さないって言ってくれる早島先輩イケメン( ；∀；)でも主人公ちゃんとしては櫻井先生の反応に心が痛みますよね、、早島先輩サイドで、先輩の焦りとか主人公ちゃんへの想いが伝わってきてキュンとしました(*´ω｀*) (2017年7月27日 8時) (レス) id: 0a45e69d80 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - やっぱり先生だ！先生サイドになって考えると好きだと言えない辛さ…(T^T)先輩としてはやっぱり主人公ちゃんを幸せにしたいですよね(。´Д⊂)なのにもうすぐ大阪…遠いなぁ〜( ；∀；)先輩の気持ちも痛い程伝わってきます！どうか皆幸せになれますように… (2017年7月27日 6時) (レス) id: aebdb910e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年6月19日 6時
