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翔くんが出て行った後。
その場に根を張ったように体が動かなかった。
雅紀くんと幸せになれると思っていたのに。
私とこの子の未来は、翔くんの手の内だった。
いくら後悔したって、泣いたって、過去は取り戻せない。
失った未来も。
だけど。
雅紀くんに黙ったまま、この子を産み育てることができる？
雅紀くんを騙して、欺いて、生きていくなんて。
「A？」
雅紀くんの声がする。
トイレからなかなか戻らない私を心配して、探しに来てくれたんだ。
「雅紀く…」
「開けるよ？」
ドアを開けた雅紀くんは、涙でぐちゃぐちゃの私を見下して驚いた顔をした。
「どうしたの…！？」
雅紀くんが私に駆け寄って、抱き締めてくれた。
どうしよう。
何て言おう。
翔くんが現れて、この子が翔くんの子だって知ったなんて。
やっぱり言えない。
「具合悪い？大丈夫？」
「う…ん…」
「気付かなくってごめん、もう帰ろう」
雅紀くんは私の背中をそっと摩ってくれる。
どうしてこんなに優しいんだろう。
なのに、私は。
雅紀くんを裏切った。
「大丈夫だよ、A」
私の頬の涙を、雅紀くんが親指でグイと拭う。
目を細めて、うっすらと笑った。
「心配しなくても大丈夫。
俺は何があっても、Aと別れないからね」
え…？
何があっても…？
「Aは俺の奥さんなんだから。ね？」
雅紀くんは私の腕を引いて、無理やり立たせた。
そしてそれ以上のことは、何も話さなかった。
もしかして雅紀くんは、何かを知ってる？
子供のことも、翔くんのことも。
何も知らないのは、私一人だけだったのかな。
結婚したって、子供ができたって。
それは人生のゴールなんかでは決してない。
二人の間で、私はこの先もずっと翻弄され続けるのかもしれない。
二人からは、一生。
逃れられない。
終わり
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Rii!(プロフ) - →胸をざわつかせ、そのまま完結！私の大好きな締めくくり方！タイトルの画像が爽やかだったので純愛ものかな？と読み進めていくうちに、まさかのドロドロ！もうドロドロ通り越して狂気的でたまらなかったです！最高でした！ (2018年10月5日 6時) (
レス) id: 39d5af13c3 (このIDを非表示/違反報告)
Rii!(プロフ) - 初めましてのコメントです 作品は黙々と読むタイプであまり感想やコメントを残す私ではないのですが、この作品は思わず「コメントしなきゃ！」と心震えました 最終話とも気づかず読んでいたらまさかの完結で思わずゾクゾクしてしまいました！今後の展開にドキドキと (2018年10月5日 6時) (レス) id: 39d5af13c3 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - えるさん» えるちゃん、感想ありがとう♪納得できない結末だったかもしれませんが面白かったと言ってくれてありがとう！嬉しいです！連載中のお話も更新頑張ります☆ (2017年1月10日 23時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 初めまして。最後、マジかー(>_<)ってなりましたが、とっても読みごたえがあって、面白かったです＼(^^)／yukoさんの作品、大好きで読ませていただいてます。これからも頑張ってください(*^^*) (2017年1月8日 0時) (レス) id: 0652f15724 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - yukoさん» 大丈夫ですよ！これからも応援してます！ (2016年12月14日 22時) (レス) id: 096f5eb490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2016年11月4日 1時
