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翔くんが座ったのは、私の向かいではなく隣。
今日配る予定の資料を片手にひととおり説明を終えると、うんって翔くんが深く頷いた。
「俺がいなくても、もう十分やっていけるな」
「ほんとに！？」
「嬉しそうにすんなよ」
ハハッって翔くんが笑う。
だって、嬉しい。
私の仕事を認めてくれたようで。
「頑張ってるんだな、A」
「うん、頑張ってるよ」
私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる翔くん。
こんなことをされるのは久しぶりで、ドキっとしていたら。
翔くんが、急に眉を下げた。
「なんか寂しい」
「どうして…？」
「ついこないだまで俺の後をちょこまか付いて歩いてたのに」
「なにそれ、私ヒナ？」
「そんな感じだっただろ」
「そんなことないよ！」
冗談だと思って笑ったのに、翔くんはにこりともせずに私の手首を握る。
「なあ…雅紀のせい？」
「え…？」
「雅紀がいるから頑張ってんだろ」
突然翔くんの口から出てきた雅紀くんの名前に戸惑う。
もちろん…それもあるけど。
仕事で結果を残さなきゃって、翔くんの穴を埋めなきゃって、私なりに…
「打ち合わせに雅紀来んの？」
「え…っと…
高縞屋と月イチの会議があるらしくて、今日はいないみたい」
「そう…残念」
翔くんは表情を変えずに答える。
どうしてそんなことを聞くのかな。
顔を合わせるのは気まずいのかと思ったら、残念だなんて。
どういうことだろう。
もしかして、雅紀くんと仲直りしたの？
そうだったら嬉しいなんて、おめでたいことを考えていた私は。
翔くんに掴まれていた手首への握力が増して、困惑する。
私の顔を見て、翔くんが笑った。
「俺、わかったわ。
こういう顔のお前が好きで、わざと困らせてる」
「は…？」
意味深な笑みを浮かべて、翔くんは立ち上がる。
「時間取らせて悪かったな」
私を一人残して、会議室からスタスタと出て行ってしまった。
どういうこと？
わざと困らせてるって、何言ってるの？
よくわからない。
わからない、けど。
離された手首には、翔くんの熱だけが残った。
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Rii!(プロフ) - →胸をざわつかせ、そのまま完結！私の大好きな締めくくり方！タイトルの画像が爽やかだったので純愛ものかな？と読み進めていくうちに、まさかのドロドロ！もうドロドロ通り越して狂気的でたまらなかったです！最高でした！ (2018年10月5日 6時) (
レス) id: 39d5af13c3 (このIDを非表示/違反報告)
Rii!(プロフ) - 初めましてのコメントです 作品は黙々と読むタイプであまり感想やコメントを残す私ではないのですが、この作品は思わず「コメントしなきゃ！」と心震えました 最終話とも気づかず読んでいたらまさかの完結で思わずゾクゾクしてしまいました！今後の展開にドキドキと (2018年10月5日 6時) (レス) id: 39d5af13c3 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - えるさん» えるちゃん、感想ありがとう♪納得できない結末だったかもしれませんが面白かったと言ってくれてありがとう！嬉しいです！連載中のお話も更新頑張ります☆ (2017年1月10日 23時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 初めまして。最後、マジかー(>_<)ってなりましたが、とっても読みごたえがあって、面白かったです＼(^^)／yukoさんの作品、大好きで読ませていただいてます。これからも頑張ってください(*^^*) (2017年1月8日 0時) (レス) id: 0652f15724 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - yukoさん» 大丈夫ですよ！これからも応援してます！ (2016年12月14日 22時) (レス) id: 096f5eb490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2016年11月4日 1時
