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雅紀くんが、私の手を取る。
「雅紀くん…？」
「…」
「え、ちょっと…」
無言で私を引っ張って、『松本家親族控室』と書いてある部屋のドアを開けた。
中には誰もいない。
私と雅紀くんだけ。
背後で、扉がバタンと音を立てて閉まる。
どうしよう。
雅紀くんと二人きりなんて。
翔くんに見付かったら、何て言われるか。
困惑する私に、雅紀くんが言う。
「…そんな顔しないでよ」
その視線が、私をこの場に縫い付ける。
ここにいちゃいけないって思うのに、動けない。
雅紀くんは、どういうつもりなの…？
「俺は…Aが幸せなら、それでいいと思ってた」
「…」
「けどさ、違うでしょ？」
何？
何を言い出すんだろう。
幸せだよ。
幸せじゃない訳がないじゃない。
翔くんみたいな人と付き合うことができるなんて、幸せなことだ。
「Aは、翔ちゃんとの未来を描ける？」
翔くんとの、未来…？
さっき描こうとして、できなかった。
私は一生独身かもって思った。
それが、幸せじゃないってこと？
雅紀くんの掌が、私の頬に触れる。
どうして雅紀くんは、こんなに苦しそうな顔をしているんだろう。
「どうやっても無理なんだよ。
Aがいた毎日が、忘れられないんだ」
雅紀くんは、愛おしむように私の頬を撫でた。
「朝起きたら、いつAが寝癖頭で降りてくるかなって階段を見ちゃうし、
夜帰ったら、おかえりってAの声が聴こえてくる気がするし」
「…」
「どうしてくれんの、責任取ってよ」
嘘…
雅紀くんが、そんな風に思っていてくれたなんて。
私の存在が、今も雅紀くんの中にいるなんて。
胸が、握り潰されたように痛い。
いけないのに。
こんなこと、絶対に。
だけど、止められなかった。
雅紀くんから合わせた唇は、私のことを必死に求めているようで。
逃げられなかった。
苦しかった。
誰もいない部屋に、私と雅紀くんのキスの音だけが響く。
無理やりされたはずなのに、拒否しなきゃって思うのに、どうしていいのかわからなくて。
雅紀くんが止めるまで、されるがままだった。
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yuko(プロフ) - Ma Hoさん» MaHoちゃん、感想ありがとう♪読んでくれてありがとうね。爽やかさが完全に消えたお話だけど、ブラックな櫻葉も楽しんでくれて嬉しい！主人公はますます追いつめられますねえ…ﾑﾌﾌ。今後もお付き合いよろしくね☆ (2016年10月18日 1時) (
レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - しずくさん» しずくちゃん、感想ありがとう♪読んでくれてありがとね！厳しいよね、仕事中も翔くんの厳しい目が…雅紀くんの誘惑の目が…ヒイー！引き込まれたとか嬉しい言葉をありがとう！移行後も読んでくれると嬉しいな☆ (2016年10月18日 1時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 皐さん» 皐ちゃん、感想ありがとう♪そうそう、そういうことだったのよ！雅紀は全てを知っていた…ほんと怖い。主人公の立場だったら蘇生堂へ行くたび挙動不審になりそう。しかしこれは妄想だから、二人に重く想われる主人公が羨ましい(笑) (2016年10月18日 1時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - わたあめさん» わたあめちゃん、感想ありがとう♪嬉しすぎるだなんてそんな、恐縮です(*^_^*)ブラックな櫻葉が受け入れられて嬉しいな☆これからも攻めますよ。移行先でもお付き合いよろしくね！ (2016年10月18日 1時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - きよしさん» きよしちゃん、感想ありがとう♪黒い櫻葉はお好みですか(//Д//)？よかった、受け入れて貰えてる！更新頑張ります！ (2016年10月18日 1時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2016年9月20日 0時
