270 ページ6
会長がこちらを見て、穏やかに微笑む。
「君たちはこちらの意見を伺う必要なんてないんだよ」
「…」
「妻のことは、私が説得しよう。
わかってくれないかもしれないが、これ以上君たちを傷付けないように最大限の努力はする」
会長…
会長が、私達のことを認めてくれるなんて。
私達の味方になってくれるなんて。
嘘みたい。
まるで現実感がない。
「ありがとうございます…！」
今度は社長が会長に、深く頭を下げる。
私も続いて、深くお辞儀。
会長が頬を緩める。
「礼を言われるようなことではない」
「しかし…」
「翔。
私は今まで君に、たくさんの負担を強いてきた。
しなくてもいい苦労も、悲しい思いもさせてきただろう」
「…」
「今まで、申し訳ないことをした。
だがこれからは、君は君の人生を歩みなさい。
私達に縛られず、好きなように生きなさい」
社長に話す会長の顔は、今まで見てきた中でいちばん優しかった。
それはきっと、父親の顔。
初めて見た、会長が会長ではない時の顔だった。
「ありがとうございます…お父さん」
社長の言葉に、会長が嬉しそうに頷く。
それから私の方を見て、目を細めた。
「翔のことをよろしくお願いします、藍原さん」
「…こちらこそ、よろしくお願いします！」
夢みたい。
会長が、私に微笑んでくれた。
私、本当に社長と一緒にいていいんだよね？
嬉しい。
こんな日が来るなんて。
社長と二人で会長室を出ると、再び背中に感じる視線。
社長はそれに気付かない振りで、スタスタと歩く。
私は慌ててその後ろをついて歩く。
そのまま社長室へと入ったから、どうしたらいいかわからなくて立ち止まっていると。
社長が無言で私の腕を引いて、ドアを閉めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4073人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuko(プロフ) - ひびきさん» ひびきちゃん、感想ありがとう♪やっぱりたくさんあるよね、社長さんと恋するお話。ごっちゃになるって呟いてるのを見て、ハッとしたのです。この話は大丈夫なのかと！(笑)大好きと言ってもらえて安心したよ、ありがとう♪ (2016年6月10日 0時) (
レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ひのきさん» ひのきさん、感想ありがとうございます♪誕生日だなんてプライベートをぶっこんですいません(汗)ありがとう！更新頑張ります！ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ちぃ☆さん» ちぃさん、感想ありがとうございます♪楽しみと言ってもらえて嬉しい！最初は社長も相当横暴でしたよね…分析して頂けて感激です。書き手さんなんですね！素敵な作品を読んだら書きたくなるのは私も同じです！私の話は素敵とは言えませんが(^_^ゞありがとうございます♪ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 珠櫻さん» 珠櫻さん、感想ありがとうございます♪生徒会から！？嬉しいです！翔くんもにのも、いつも主人公に振られる話ばかり書いているので申し訳ないです(;´д｀)ありがとうございます！更新頑張ります♪ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 杏さん» 杏ちゃんへ。大好きだなんて嬉しいわ(T_T)ありがたや。こちらこそよろしくね！！ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2016年5月19日 0時
