305 できるだけ ページ41
翌日、二宮くんは私に謝るでもなく、普通に接してきた。
ほっぺには私の手形を隠すように湿布が貼ってあったけど。
見るからに痛々しい。
なのにハルちゃんに「どうしたんですか！？」って聞かれても、「別に」って飄々としてる。
私も何事もなかったかのように振る舞う。
あのあと二宮くんと一緒にいたのは私なんだから、犯人は私だってバレバレなんだろうけど。
二宮くんなんかに、私の心を乱されてたまるもんか。
謝ってきたって、許してあげない。
大野課長にも、部長にも、「気を使わないで下さい、前のように仕事をさせてください」って直談判してきた。
たとえ迷惑でも、私は営業の人間なんだから。
会社のために、働かなくちゃいけない。
社長の婚約者っていう立場に胡坐をかくつもりなんて、さらさらないし。
社長も頑張ってるんだもん、私も頑張らなくちゃ。
平静を装って、仕事にまい進する。
前みたく、残業も休日出勤も厭わない。
必死になって働く私に、二宮くんは何も言わなくなった。
チームもいつの間にか解消された。
私の営業成績は上々。
どうだ、ざまあみろ。
私だって、やればできるんだから。
社長は社長で忙しくて、二人で家にいる時間は劇的に減った。
同じ会社にはいるけど、公私混同はしたくないから滅多に顔は合わせない。
結婚の話も、私の仕事の話も、全部後回しになって。
話す時間も、触れ合う時間も随分限られるようになった。
顔を合わせるのは朝だけ。
それも、毎日ではない。
無理して朝飯作るなって言われたけど、無理してでも作る。
だってこれも、私の仕事。
昼も夜も一緒に食べられないんだから、これくらいはやらなきゃ。
「今日も遅いんですか？」
「ああ。お前もだろ」
「私は…今日を乗り越えたら少しは楽になるかな」
「そっか。無理すんじゃねーぞ」
「社長こそ、顔色良くないですよ？」
「んなことねえよ、いつもどおりだ」
「ほんとに？」
「ッハ、しつけーな」
社長がちょっとだけ、笑った。
それだけで、私はじゅうぶんだった。
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yuko(プロフ) - ひびきさん» ひびきちゃん、感想ありがとう♪やっぱりたくさんあるよね、社長さんと恋するお話。ごっちゃになるって呟いてるのを見て、ハッとしたのです。この話は大丈夫なのかと！(笑)大好きと言ってもらえて安心したよ、ありがとう♪ (2016年6月10日 0時) (
レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ひのきさん» ひのきさん、感想ありがとうございます♪誕生日だなんてプライベートをぶっこんですいません(汗)ありがとう！更新頑張ります！ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ちぃ☆さん» ちぃさん、感想ありがとうございます♪楽しみと言ってもらえて嬉しい！最初は社長も相当横暴でしたよね…分析して頂けて感激です。書き手さんなんですね！素敵な作品を読んだら書きたくなるのは私も同じです！私の話は素敵とは言えませんが(^_^ゞありがとうございます♪ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 珠櫻さん» 珠櫻さん、感想ありがとうございます♪生徒会から！？嬉しいです！翔くんもにのも、いつも主人公に振られる話ばかり書いているので申し訳ないです(;´д｀)ありがとうございます！更新頑張ります♪ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 杏さん» 杏ちゃんへ。大好きだなんて嬉しいわ(T_T)ありがたや。こちらこそよろしくね！！ (2016年6月10日 0時) (レス) id: 8fa3a5d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2016年5月19日 0時
