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「おいでよ、あそこで一緒に話そう」
悪意の見えない笑顔で、雅紀はAの腕をぐんと引っ張る。
抵抗できないAは片手にごみ箱を持ったまま、黙って後を付いていくことしか出来なかった。
待ち伏せされていた？
何故？
Aは容姿で気に入られるほどの美人ではない。
スカートは校則通りの膝丈だし、目立つような振る舞いもしていない。
二人の様子を覗き見る女子生徒なんて、他にもいただろう。
なのに何故自分が？
扉を開けると、昨日とはうってかわって曇天模様の空。
非常階段の昨日と同じ場所に、白い紙筒を咥えた翔が座っていた。
Aの姿を見て、翔は眉をひそめる。
体育館で見た笑顔の翔とは別人のようだ。
赤い唇の隙間から吹き出される煙は、ゆっくりとグレーの空に吸い込まれていった。
「マジで連れて来たの、その子」
「だから言ったじゃん、マジだって」
「ウケるー」
翔の乾いた笑い声は、Aの耳に突き刺さるようだった。
やっぱり嫌われている。
小さな絶望。
「ほらあ、翔ちゃんが怖い顔するからAちゃんが泣きそうになってるー」
「怖くねえし」
「すみません、私は大丈夫ですからっ」
「はあ？大丈夫とか何様だよ」
「気にしないでね、翔ちゃん今不機嫌なの」
「雅紀うるせえ」
困った人だよねって肩を上下させる雅紀。
Aは今すぐここから居なくなりたくなった。
自分の登場によって翔の機嫌が損ねられたことに申し訳ない気持ちしかなかった。
翔はコンクリートの階段に焼けて短くなった紙筒を押し付けた。
「先帰ってるわ」
「え、何で？待ってよ」
「俺がいたら邪魔だろ、ごゆっくり」
雅紀の制止を無視してひょいと手すりを乗り越え、翔は去っていく。
「あーあ、行っちゃった」
「……」
「ごめんね、あの人ちょっと難しくて」
「いえ……」
申し訳なさそうに頭を掻く雅紀。
自分のせいだと落ち込むA。
翔は雅紀と違って無駄に愛想を振り撒かない。
そこが素敵だと女子が騒いでいたなあと、Aはふと思い出す。
突然見知らぬ下級生が現れたら、普通は警戒するもの。
翔と雅紀も女子生徒に追い回されて、何度も嫌な思いをしてきたのかもしれない。
「でも、これで二人きりになれたね」
雅紀がAに甘い笑顔を向ける。
繋がれた手に指が絡まる。
Aの意思とは裏腹に、雅紀の毒はAを少しずつ蝕もうとしていた。
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さり(プロフ) - 爽やか男子なまさき君のお話から来たので、ダークな感じもまた堪らんです！！ (2019年3月27日 0時) (
レス) id: 1076ce69b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - えっ？！初めてなのにお風呂でだなんて全て見られちゃうし、声は響いちゃうし恥ずかしい(〃ﾉωﾉ)翔くんはどうも主人公ちゃんが気になっちゃうんですね…年度末だから仕方ないのかもしれないですけど、嵐さん不足になりますよね(。>д<) (2019年3月25日 6時) (レス) id: 7082127890 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - こんばんは。本当に雅紀くんの考えがわからなくて…側にいる翔さんさせもとまどっている？翔さんも主人公ちゃんに惹かれつつ？色んなドキドキが忙しい(￣▽￣;) (2019年3月24日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪レイラちゃんは高校生だけど、イメージはローラで(笑)樹里さんは相葉先輩の過去を知る人物のひとりだよ。色々書きたいことは盛沢山なんだけど文字数が(;´Д｀)次のお話はなるべく夜中に読んでほしい(*´艸`*) (2019年3月24日 0時) (レス) id: 002ad326f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - ハラハラドキドキしながら読んでいる中、レイラちゃんの天然ぶりにくすっと笑わされてホッとさせられます(((*≧艸≦)樹里先輩は良い人なのか相葉先輩とグルなのか…えっ？！家って二人の住む家に行っちゃうんですか？心の準備が…(笑) (2019年3月17日 23時) (レス) id: 7082127890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2019年2月10日 1時
