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「苛めんなって言ったのに」
リビングに入って来るなり雅紀が言った。
翔は何も言い返せなくて口を結ぶ。
Aが雅紀に告げ口したのか。
怒ったAを雅紀が見たとしたら、そう思うのも無理はないか。
翔にAを怒らせるつもりはなかった。
何て言い訳をしようか考えていたら、雅紀は翔をたしなめるように言う。
「翔ちゃんは都合が悪くなると無視するんだから」
「……うっせえな」
雅紀から逃れるように、翔はソファーを立つ。
「どこ行くの？」
「その辺」
「ふうん」
「俺がいちゃ邪魔だろ」
「気が利くね、ありがと」
雅紀は怒ってはいなかった。
むしろ機嫌は良いらしい。
何なんだ。
自分の忠告をAは何故聞かない。
そんなに雅紀に惚れているのか。
リビングを出ると、浴室へ続く扉の前で翔は立ち止まる。
水が勢いよく流れる音。
このドアの向こうにはAがいる。
これから起こることを予想もしていないんだろう。
馬鹿な女だと切り捨てていいのか。
何故こんなにもAが気になるのだろう。
自分らしくない、と翔は思った。
深雪以外の女に興味はなかったはずだ。
迷いを断ち切って家を出る。
駅に向かって歩く。
どこで時間を潰そうか。
誰か呼び出そうとスマホをいじっていた時、よく知った人影に気付く。
家政婦の知沙だ。
翔は知沙に声を掛けた。
「知沙さん」
「あ……こんにちは。お出掛けですか？」
知沙は大きな紙袋を抱えていた。
これから翔の家に向かうのだろうか。
相変わらず地味な女だと翔は思う。
元はいいのだから、もう少し工夫をすれば美しく見えるのにと。
「うん、雅紀は家にいるんだけど」
「存じております」
「あのさ、今ちょっと……家に行かない方が」
「え。こちらを届けるよう雅紀さんから連絡があったのですが」
知沙が持っていた紙袋の中身は女子の制服だった。
Aに着せるつもりで雅紀が？
一体何を考えてる？
自分とAの行為を知沙に見せ付ける気か。
「それ……俺が預かるよ」
「でも」
「用はそれだけ？」
「はい」
「じゃ貸して」
「そういう訳には」
「いいから。じゃあね」
知沙から奪うように紙袋を貰って、翔は再び家に向かう。
今日は何度この道を往復するんだろう。
溜息をつきながら家に着いた翔は、玄関のドアを開ける。
遠くから聴こえてきたのは、Aの細い声。
翔は玄関に乱暴に紙袋を置いて、再び家を出た。
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さり(プロフ) - 爽やか男子なまさき君のお話から来たので、ダークな感じもまた堪らんです！！ (2019年3月27日 0時) (
レス) id: 1076ce69b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - えっ？！初めてなのにお風呂でだなんて全て見られちゃうし、声は響いちゃうし恥ずかしい(〃ﾉωﾉ)翔くんはどうも主人公ちゃんが気になっちゃうんですね…年度末だから仕方ないのかもしれないですけど、嵐さん不足になりますよね(。>д<) (2019年3月25日 6時) (レス) id: 7082127890 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - こんばんは。本当に雅紀くんの考えがわからなくて…側にいる翔さんさせもとまどっている？翔さんも主人公ちゃんに惹かれつつ？色んなドキドキが忙しい(￣▽￣;) (2019年3月24日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪レイラちゃんは高校生だけど、イメージはローラで(笑)樹里さんは相葉先輩の過去を知る人物のひとりだよ。色々書きたいことは盛沢山なんだけど文字数が(;´Д｀)次のお話はなるべく夜中に読んでほしい(*´艸`*) (2019年3月24日 0時) (レス) id: 002ad326f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - ハラハラドキドキしながら読んでいる中、レイラちゃんの天然ぶりにくすっと笑わされてホッとさせられます(((*≧艸≦)樹里先輩は良い人なのか相葉先輩とグルなのか…えっ？！家って二人の住む家に行っちゃうんですか？心の準備が…(笑) (2019年3月17日 23時) (レス) id: 7082127890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2019年2月10日 1時
